エンジニアリングシステム(全20問中9問目)

かんばん方式の運用方法はどれか。

出典:平成27年秋期 問72

  • 前工程が生産完了した後,生産量を記載したかんばんとともに部品を後工程に供給する。
  • 前工程は後工程から回ってくるかんばんの指示量に備え,自工程の在庫を最小限に抑えながら生産しておく必要がある。
  • 前工程は後工程の引取り時期やかんばんの指示量が大きく変動しても,対応できる生産能力の余力をもつ必要がある。
  • 前工程は故障などによる後工程への供給量不足に備え,平均故障時間で生産される部品の量を,かんばんの指示量に加算して,後工程に供給する。
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分野:ストラテジ系
中分類:ビジネスインダストリ
小分類:エンジニアリングシステム
解説
かんばん方式とは、製造現場の工程間で"かんばん"と呼ばれる伝票をやり取りすることで工程内の仕掛品の最少化を図り、生産コストを削減する仕組みです。"かんばん"には、①製造工程名、②品番、③品名、④生産量、⑤部品置場などの情報が記載されています。トヨタ生産方式の代表的な要素であるJIT(ジャストインタイム)を実現するための生産管理方式です。

かんばん方式の基本的な運用方法は次のとおりです。
  1. 後工程は、部品ロットを使い切ると、前工程や部品置場から部品とともに"かんばん"を引き取る
  2. 後工程は、使い切った部品ロットに付いていた"かんばん"を、生産指示書として前工程に引き渡す
  3. 前工程は、"かんばん"に記載された分量だけ新たに部品を生産し、部品ロットと"かんばん"をセットにしておく
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製造ラインで工程間の同期がとられていないと、生産加工の早い工程では次々と仕掛品を製造し、その後ろの工程に仕掛品が滞留してしまいます。仕掛品の滞留は、リードタイムの悪化、在庫管理コストの増加、費用回収期間の遅れなど生産コストを増加させる要因となります。"かんばん"を用いると、後工程で今必要な分だけを製造することになるので、作りすぎのムダをなくし、工程間の仕掛品や在庫を削減することができます。

この"かんばん"を使用した生産では、後工程が前工程から必要な分だけを引き取ることを契機として、前工程が補充生産をするという一連の流れを生むので「後工程引き取り生産方式」とも呼ばれます。
  • 部品の供給は後工程で必要となった時に行われます。前工程での生産終了後すぐに供給していると、後工程に部品が溜まることになってしまいます。
  • 正しい。かんばん方式では手持ち在庫を最少化するため、在庫切れによる生産停止が起こりやすくなるというデメリットがあります。生産ラインが停止してしまっては本末転倒なので、前工程では、後工程からの要求に応えられる安全在庫量を保持しておく必要があります。
  • 生産能力の余力はムダにつながるため、前工程は、在庫量の適正化や生産量の平準化などを前提として、後工程からの要求に応えるだけの生産能力があれば十分です。空いた時間に別の作業を割り当てるなどして余力を排除することが求められます。
  • かんばん方式では、供給量不足に備えた安全在庫量を"かんばん"の枚数で管理するので、前工程では、あくまでも"かんばん"の指示量どおりに生産すれば済みます。

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