セキュリティ技術評価 - 19語(シラバス7.1)
ISO/IEC15408
情報システムのセキュリティ評価基準を定めた国際規格である。この規格は「コモンクライテリア」とも呼ばれ、システムや製品のセキュリティ機能を客観的に評価するための枠組みを提供する。具体的には、製品が定められたセキュリティ要件を満たしているかどうかを確認し、その信頼性を証明するための方法論を示している。例えば、パソコンやネットワーク機器のセキュリティレベルを評価する際に、ISO/IEC 15408に基づいて行うことで、ユーザーはその製品がどれだけ安全であるかを理解しやすくなる。この基準を用いることで、製品がセキュリティ面での要件を満たしているかを比較しやすく、様々な市場での信頼性を高める助けとなる。
評価方法
システムやプロセスの効果や性能を測定し、評価するための基準や手法のことを指す。特にセキュリティ分野においては、情報システムの安全性や信頼性を確認するために使用される。評価方法には、テスト、レビュー、分析などの手法が含まれ、これにより脆弱性やリスクを特定することが可能である。具体的な例として、セキュリティ評価基準に基づき、システムの脆弱性をチェックするペネトレーションテストが挙げられる。このような評価を行うことで、組織は必要な改善策を講じ、安全性向上につなげることができる。
セキュリティ機能要件
情報システムにおけるセキュリティ機能が満たすべき条件や基準を示すものである。この要件は、情報の秘密性、完全性、可用性を確保するために設計されており、システムが直面する脅威やリスクに対処するために必要な機能を明確にする役割を持つ。具体的には、認証やアクセス制御、暗号化といった機能が含まれている。これにより、システムが安全に運用されることが期待され、セキュリティ評価や認証プロセスにおいても重要な指標とされる。適切なセキュリティ機能要件を設定することで、利用者の信頼を確保し、情報資産を守るための基盤を構築することが可能となる。
セキュリティ保証要件
情報システムやソフトウェアのセキュリティを評価するために必要な条件や基準である。これらの要件は、システムが安全であるかどうかを確認するために設計されており、リスクを管理し、攻撃から守るために必要な対策を示している。具体的には、認証やアクセス制御、データの暗号化などが含まれる。システムの設計段階から運用、保守に至るまでの全プロセスにおいて適用されるため、全体的なセキュリティ対策を一貫して強化するのに役立つ。これにより、情報の機密性、完全性、可用性を確保することが可能となる。
保証レベル
情報システムや製品がセキュリティの要件をどの程度満たしているかを測る指標である。この評価基準は、特にセキュリティの強さや信頼性を示すために使用される。例えば、特定のセキュリティ機能が適切に実装されているか、運用プロセスが確立されているかといった評価が行われ、利用者はその結果を基にリスクを理解し、適切な対策を講じることができる。セキュリティ製品やサービスの選定や導入において重要な要素となり、特に重要なデータを扱うシステムにおいて高い保証レベルが求められることが多い。これにより、システムが脅威に対してどのように抵抗できるかを示し、利用者の信頼を得ることに繋がる。
JCMVP
日本における暗号モジュールの試験及び認証制度である。この制度は、暗号技術を使用する機器やソフトウェアが、公的な基準に従って適切に機能し、安全であることを確認するために設けられている。具体的には、暗号アルゴリズムやキー管理機能などが正確に実装されているかを検証し、認証を得ることで、信頼性を保障する仕組みである。情報セキュリティにおいて重要な役割を果たしており、特に金融機関や官公庁など、セキュリティが求められる分野で広く採用されている。この制度により、ユーザーは安心して暗号技術を利用できる環境が整えられている。
CVSS
ソフトウェアやシステムに存在する脆弱性を評価し、リスクの度合いを数値で示すための基準である。この基準により、脆弱性の深刻度を一貫して評価し、比較することが可能となる。0から10までのスコアを用いて、脆弱性の影響や悪用の難易度を示す。たとえば、高いスコアが付与された脆弱性は、迅速な対処が必要であることを示す。これにより、組織は限られたリソースの中で、最も重要な脆弱性の修正や対策を優先することができる。セキュリティチームが評価や報告を行う際に利用され、情報の共有や意思決定を助ける役割も果たしている。
CVE
情報システムやソフトウェアに存在する脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を識別するための標準的な識別子である。このシステムは、脆弱性に関する情報を一元管理し、統一的に参照できるように提供されている。具体的には、各脆弱性には一意の番号が付与され、専門家や企業はこの番号を用いて脆弱性の評価、対策、情報共有を行うことができる。例えば、CVEを参照することで、特定の脆弱性がどのソフトウェアに関連しているのか、どのような影響があるのかを容易に理解し、安全対策を講じる手助けとなる。こうした標準化された情報は、セキュリティ上のインシデントに迅速に対応するためにも不可欠である。
CWE
ソフトウェアの脆弱性や弱点を体系的に分類したリストである。このリストは、ソフトウェア開発者やセキュリティ専門家が、システムの安全性を評価し、リスクを軽減するために役立つ情報を提供する。具体的には、CWEは特定の脆弱性の種類を明確にし、それぞれの問題に対する対策や修正方法を示すことを目的としている。たとえば、プログラムにおいて不適切な入力処理や誤ったアクセス制御が原因で発生する脆弱性などが分類されており、これにより開発者は効果的にリスクを管理できる。また、CWEはセキュリティ教育やトレーニングの基盤としても利用され、ソフトウェアの安全性を向上させるための重要なリソースとなっている。
脆弱性診断
情報システムやネットワークに存在するセキュリティ上の脆弱性を特定し、評価するプロセスである。この診断により、悪意のある攻撃者が利用する可能性のある弱点を洗い出し、適切な対策を講じるための基礎情報を提供する。具体的には、システムの設定ミスや未修正のソフトウェア、パスワードの強度不足などが対象となる。脆弱性診断は定期的に実施することが推奨されており、これにより企業や組織はセキュリティリスクを低減させ、生産性の向上を図ることができる。また、診断結果に基づいて、適切な修正や対策を行うことで、情報資産の保護と信頼性の向上が期待される。
ペネトレーションテスト
システムやネットワークのセキュリティを評価するための手法である。このテストでは、実際の攻撃者の視点から侵入を試みることで、脆弱性や弱点を発見し、それに対する対策を検討する。例えば、企業のWebサイトに対するペネトレーションテストでは、ハッカーが不正にアクセスできるかどうかを確認し、もし問題があればその修正方法を提案する。これにより、情報漏洩やサービス停止といったリスクを低減することが可能である。定期的に実施することが望まれ、サイバー攻撃に対する防御力を高める重要な手段となっている。
脆弱性報奨金制度
企業や団体が自社システムのセキュリティを向上させるために、外部のセキュリティ研究者やハッカーに対して脆弱性の発見を奨励するプログラムである。この制度では、脆弱性が報告されると、発見者に金銭的な報酬が支払われる仕組みになっている。例えば、多くのテクノロジー企業がこのプログラムを実施し、新たな脆弱性を早期に把握することで、ユーザーの安全を守る努力をしている。また、報奨金を通じて、合法的な方法でサイバーセキュリティの強化に貢献できる点が魅力であり、セキュリティ専門家にとっても意欲的な活動となる。こうした取り組みにより、全体のセキュリティレベルの向上が期待されている。
耐タンパ性
情報システムやデバイスが不正な改ざんや侵入から保護される能力を指す。具体的には、ハードウェアやソフトウェアが外部からの攻撃や不正操作に対して強固であり、不正なアクセスを防ぐための設計や実装がなされていることを意味する。例えば、セキュリティ性の高い金庫やデータ暗号化技術などがこれに該当する。耐タンパ性が高いシステムほど、攻撃者がその機能やデータを改ざんするのが難しくなるため、重要な情報資産の保護に寄与する。これにより、サイバー攻撃からの防御が強化され、個人や組織のデータセキュリティが向上する。
IT製品の調達におけるセキュリティ要件リスト
企業や組織がIT製品を購入する際に遵守すべきセキュリティ基準を明示したリストである。このリストは、情報の機密性、整合性、可用性を確保するための具体的な要求事項を列挙しており、製品選定の際の重要な指針となる。例えば、データの暗号化機能やアクセス管理の仕様、脆弱性への対策などが含まれることが一般的である。このような要件を明確にすることで、調達プロセスにおいてセキュリティリスクを低減し、組織の情報資産を保護することが可能となる。また、セキュリティ要件は法令遵守や業界標準に基づくことから、企業の信頼性向上にも寄与する。
CC
情報技術における評価基準として広く使用されている「コモンクライテリア」の略称である。これは、製品やシステムの安全性や信頼性を評価するための国際的なフレームワークであり、特にセキュリティ評価に焦点を当てている。具体的には、ISO/IEC 15408という国際標準に基づき、製品が指定されたセキュリティレベルを満たすかどうかを評価する手法を提供する。これにより、ユーザーや企業は、選んだ技術が信頼できるものであるかを確認することができる。さらに、評価対象には、ソフトウェアやハードウェアだけでなく、プロセスや手順も含まれるため、幅広い適用が可能である。このように、CCは情報セキュリティの信頼性を高める重要な役割を果たしている。
PP
情報技術のセキュリティ評価に関する基準の一部であるプロテクションプロファイルのことである。これは、特定のシステムや製品が満たすべきセキュリティ要件を明文化した文書であり、ISO/IEC 15408に基づいて作成される。例えば、銀行のオンラインサービスにおいて、顧客情報の保護やデータの整合性を確保するために必要なセキュリティ要件がPPに記載される。このように、製品やシステムのセキュリティを管理し、評価する際の指針となるものであり、ユーザーや開発者にとって信頼性の高いセキュリティを提供するために欠かせない要素となっている。また、セキュリティ製品やサービスの評価プロセスを一貫性のある形で進めるための基盤ともなる。
CEM
情報技術のセキュリティ評価に関する共通の方法論である。この手法は、特にコンピュータシステムのセキュリティを評価するための体系的なアプローチを提供するものであり、ISO/IEC 15408として知られるセキュリティ基準に基づいている。具体的には、システムのセキュリティ機能やその効果を明確に評価し、適切な基準に基づいて信頼性を測定することを目指している。セキュリティ製品やシステムが実際にどれだけ効果的に機能するかを評価する際に利用される。また、ISO/IEC 18045との関連性もあり、評価のプロセスや手法が標準化されているため、信頼性の高い公正な評価が可能である。この方法によって、ユーザーは情報セキュリティの信頼性を判断しやすくなる。
EAL
情報セキュリティ製品やシステムに対する評価保証レベルのことである。このレベルは、ISO/IEC 15408およびISO/IEC 18048の国際標準に基づいて設定されており、製品がセキュリティの要求をどの程度満たしているかを示す指標となる。1から7までの段階で評価され、高いレベルに達するほど、製品が厳格なセキュリティ基準をクリアしていることを意味する。たとえば、EAL5やEAL7など高いレベルでは、設計や実装に対する詳細な検証が行われ、信頼性が非常に高いとされる。これにより、企業や政府機関は、安全性の確保において信頼できる製品を選定する際の重要な基準とすることができる。
JISEC
情報技術のセキュリティを評価及び認証するための制度である。これは、ISO/IEC 15408やISO/IEC 18049に基づいており、情報システムの安全性を客観的に評価するプロセスを提供する。具体的には、ソフトウェアやハードウェアが、一定のセキュリティ基準を満たしているかどうかを検証するもので、政府や民間企業で幅広く利用されている。例えば、セキュリティ評価を受けた製品は、悪意のある攻撃からシステムを保護する能力を示す証拠となり、組織の信頼性を高める要因となる。情報セキュリティの確保に向けた重要なツールであり、多様な業界での安全性の向上に寄与している。