ファシリティマネジメント - 15語(シラバス7.1)

ファシリティマネジメント

企業や組織の資産や施設を効率的に運用・管理する手法である。この管理には、建物の維持管理、環境整備、人的資源の最適化などが含まれ、これらを通じて業務の効率化やコスト削減を実現することが目的である。例えば、オフィスビルの空間を有効利用するために、レイアウトを見直したり、エネルギー効率を向上させるための設備投資を行うことが挙げられる。また、良好な作業環境を提供することにより、従業員の生産性向上にも寄与する。単に施設を管理するだけでなく、組織全体の戦略的な運営に直結する重要な役割を果たしている。

施設管理

建物や施設の運営、保守、そして管理を総合的に行うプロセスを指す。具体的には、施設の利用効率を向上させ、住環境や作業環境を快適に保つことが目指される。例えば、オフィスビルの清掃管理や設備の点検・修理、エネルギーの効率的な使用、利用者の安全確保などが含まれる。総合的なアプローチを通じて、建物の価値を高め、長寿命化を図る重要な役割を果たしている。さらに、テクノロジーの活用により、業務の効率化やより良いサービスの提供も実現可能である。

建物管理

建物の安全性、機能性、快適性を確保するための一連の活動を指す言葉である。免震装置やアレスタなどのサージ防護デバイスは、地震や雷などの自然災害から建物を守るための重要な要素であり、これらの設備は建物の耐久性を向上させる役割を果たす。また、防災や防犯設備は、火災や侵入者からの脅威に対処するために必要で、例えば消火器やセキュリティカメラが含まれる。安全管理関連知識は、従業員や利用者の安全を確保するための指針として重要で、定期的な点検やメンテナンスは欠かせない。これらの要素が連携することで、快適で安全な建物環境を実現することが可能となる。

消火設備

火災が発生した際に火を消すための設備のことである。消火設備には、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備、不活性ガス消火設備などが含まれる。泡泡を生成して火を覆うことで酸素を遮断し、火を消す仕組みを持つ。この方式は、油火災などに効果的である。ハロゲン化物特定の化学物質を使用して火を消すもので、電子機器のある場所でも適応可能で、残留物が少ない特性がある。不活性ガス二酸化炭素やアルゴンなどのガスを使用し、酸素濃度を下げて火を消す。このように、消火設備は火災を迅速に抑制し、被害を最小限に抑えるための重要な要素である。

電気設備

建物や施設内で電力を供給したり管理したりするための機器やシステムを指すものである。例えば、無停電電源装置(UPS)は、停電時にも電力を供給し、重要な機器を保護する役割を果たす。また、自家発電設備は、外部からの電力供給が途絶えた場合に備えて、自ら電気を生産するシステムである。これらの設備は、無駄なエネルギーを減少させると同時に、業務の継続性を確保するために非常に重要である。電気設備の適切な管理は、安全性や効率性の向上にも寄与する。

空調設備

室内の温度や湿度を調整するために用いられる機器やシステムを指す。主に冷暖房を行うための空調機器が含まれ、エアフローという概念を基に空気を循環させることで快適な環境を提供する。たとえば、コールドアイルとホットアイルは、データセンターなどで冷風を効率的に分配するための空気の流れを管理する手法であり、冷却の効率を高めることができる。空調設備を適切に管理することで、エネルギーの消費を削減し、快適な室内環境を維持することができる。これは、施設管理において重要な要素である。

通信設備

情報通信を効率的に行うために必要な機器や施設のことを指す。具体的には、電話やインターネット接続を実現するための装置が含まれる。MDF(Main Distribution Frame)は、センターとなる配線装置で、外部と内部ネットワークを接続する役割を果たしている。これに対して、IDF(Intermediate Distribution Frame)は、MDFから部屋やフロアに分配するための装置であり、より細かな通信の管理が可能である。これらの設備を用いることで、効率的なデータ通信が実現し、施設内での情報の流れがスムーズになる。特に企業や学校などの大規模な環境で重要な役割を果たしている。

データファシリティスタンダード

データセンターのインフラや運用の信頼性を評価するための基準である。ティア基準は、データセンターの耐障害性や冗長性を示す指標として用いられ、主にTier IからTier IVまでの4つのレベルに分類される。例えば、Tier Iは最低限の信頼性を持つ施設であり、シンプルな構造を持つが、冗長化がないためダウンタイムが発生しやすい。一方、Tier IVは最も高いレベルで、高度な冗長性と耐障害性を備えており、ビジネスの継続性を確保するための安心感を提供する。この基準は、データセンターの選定や運用管理において重要な役割を果たしている。

施設・設備の維持保全

建物や機械、設備などが安全に機能し続けるように、定期的な点検や修理を行う作業を指すものである。これにより、設備の寿命を延ばし、故障や事故を防ぐことが可能となる。例えば、ビルの空調設備の点検を定期的に行うことで、快適な環境を保つことができる。また、適切な保全作業によって急な故障が減少し、運営コストの削減にも繋がる。施設や設備の状態を常に良好に保つことは、安全性や効率性を高める上で非常に重要である。

環境側面

企業や組織が活動する中で、環境に与える影響を指す概念である。具体的には、原材料の使用、エネルギー消費、排出物や廃棄物の管理などが含まれる。例えば、工場が製品を作る際に発生する廃水や二酸化炭素の排出は、環境側面の一部である。これらの影響を把握し、適切な対策を講じることで、持続可能な発展を促進することができる。また、環境側面を定期的に評価することにより、改善点を見つけ出し、資源の効率的な使用へとつなげることが期待される。

グリーンIT

情報技術(IT)を利用して環境への影響を軽減する取り組みを指す言葉である。具体的には、エネルギー効率の向上、リサイクル可能な素材の使用、温室効果ガスの排出削減などが含まれる。例えば、データセンターでの省エネ対策や、サーバの仮想化によってハードウェアの使用を最小限に抑える方法が考えられる。また、リモートワークやクラウドサービスの活用も、移動や設備の無駄を減らし、環境負荷を軽減する手段として重要である。グリーンITの推進により、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されている。

データセンター総合エネルギー効率指標

データセンターが使用するエネルギーの効率性を評価するための指標群である。代表的な指標にはPower Usage Effectiveness(PUE)やIT Equipment Efficiency(ITEE)があり、これらはデータセンターのエネルギー消費に対するIT機器の効率を示す。例えば、PUEはデータセンター全体のエネルギー消費量をIT機器の消費量で割った値で、値が小さいほど効率が良いとされる。この指標を用いることで、データセンターの設計や運用におけるエネルギー効率改善策を打ち出すことが可能になり、結果として環境への負荷を軽減する取り組みに寄与する。エネルギー効率の向上は、コスト削減や持続可能性の向上にもつながり、現代のITインフラにおいて重要な要素である。

ZEB

年間のエネルギー消費量をゼロにすることを目指した建物のことを指す。具体的には、建物で使用するエネルギー量と、建物内で再生可能エネルギーを生成する量が等しくなるように設計されている。これにより、エネルギーの負担が軽減され、持続可能な社会の実現に貢献する。太陽光発電や風力発電を利用することが多く、これにより環境負荷を低下させる。また、省エネルギー技術や高効率設備の導入により、使用するエネルギーの削減も図っている。最近では、ゼロエネルギーの建物を実現するための技術が進化しており、新築だけでなく既存建物の改修にも関心が集まっている。

LEED認証

建物や地域の持続可能性を評価し、認証するための国際的なシステムである。この認証は、環境に配慮した設計や建設、運営を推奨し、資源の効率的な使用やエネルギーの節約を重視する。具体的には、エネルギー効率の高い設備の導入や、再生可能エネルギーの利用、適切な水資源管理が求められる。例えば、LEED認証を取得した建物は、自然光を多く取り入れ、廃棄物のリサイクルを促進するデザインがされていることが多い。このように、LEED認証は環境保護やエコロジーへの配慮を促進し、持続可能な社会を実現するための重要な指標となっている。

GHGプロトコル

温室効果ガスの排出を評価・報告するための国際的な基準である。このプロトコルは、企業や政府が自らの温室効果ガス排出量を正確に測定し、管理するためのガイドラインを提供する。具体的には、直接的な排出や、電力購入に伴う間接的な排出も考慮した3つのスコープに分かれている。この枠組みに基づくことで、組織は自らの影響を可視化し、削減目標を設定できる。持続可能な発展を目指す企業活動の指針ともなり、環境への配慮を促進する重要なツールである。

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