令和7年春期試験問題 午前問74
問74解説へ
様々な需要予測モデルのもととなっている時系列モデルに関する記述として,適切なものはどれか。
- 移動平均法では,平均する期間を長くするほど,短期的な需要の変化の影響が大きくなる。
- 移動平均法は,長期的な需要のトレンドを把握するのには向かないが,直近の需要の変化を把握するのには向いている。
- 指数平滑法では,平滑化定数の値が0%に近いほど直前の実績値を重視し,100%に近いほど過去の実績値を重視する。
- 指数平滑法は,過去の実績値よりも直近の実績値を用いるほど予測の精度が向上すると考えられる場合に有効な手法である。
正解 エ問題へ
広告
解説
時系列モデルは、時間の経過に伴って変化するデータを分析・予測するための統計的手法です。時間順に記録されたデータの動きを分析し、将来の値を推定する際に用いられます。売上や気温、株価、アクセス数など様々な予測に使用されています。
代表的な時系列モデルには、移動平均法、指数平滑法、自己回帰モデル(ARモデル)、移動平均モデル(MAモデル)、それらを組み合わせたARIMAモデルがあります。移動平均法と指数平滑法は最も基本的なモデルです。
代表的な時系列モデルには、移動平均法、指数平滑法、自己回帰モデル(ARモデル)、移動平均モデル(MAモデル)、それらを組み合わせたARIMAモデルがあります。移動平均法と指数平滑法は最も基本的なモデルです。
- 移動平均法
- 直前の一定期間のデータの単純平均を求め、短期的な変動を抑えながら傾向を把握する
例)過去3日間の売上が 100、120、130 の場合、3日間の単純移動平均は、
予測値=(100+120+130)÷3=116.67 - 指数平滑法
- 移動平均法の一種であり、直近の一定期間のデータについて、直前のデータほど指数関数的に高い重みを置いて平均を算出する
例)平滑化定数α=0.4、前回の予測値=110、今回の実績値=130 の場合、
予測値=130×0.4+110×(1-0.4)=118
- 移動平均法では、集計対象とする期間が長くなるほど短期的の変化の影響は小さくなります。対象データ数が多ければ、一つひとつのデータが全体に与える影響は相対的に小さくなるためです。
- 移動平均法では、短期的な変動の影響が平滑化されるため、長期的なトレンドの把握に適しています。一方で、直近の実績値に対する反応が鈍くなるため、短期的な需要の変化を捉えるには不向きです。
- 指数平滑法で設定される平滑化定数(α)は、直前の実績値を取り込む割合を示します。このため記述とは逆に、平滑化定数が1に近いほど直前の実績値を重視し、0に近いほど過去の予測値を重視することになります。
- 正しい。指数平滑法は、直近のデータに重みを置いて予測を行うため、需要が急変しやすい環境や、過去の傾向が陳腐化しやすい場合に効果を発揮します。
広告