平成25年秋期試験問題 午前問36

図に示すIPネットワークにおいて,端末aから端末bへの送信パケットをモニタリングツールで採取した。パケットのヘッダ情報に含まれるアドレスの組合せとして,適切なものはどれか。
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分野:テクノロジ系
中分類:ネットワーク
小分類:通信プロトコル
解説
TCP/IPの通信では、原則として送信元からパケットが送出され宛先に到達するまでのエンドトゥエンドでIPアドレスが変わりません(NATによる変換を除きます)。この問では送信元が端末a、宛先が端末bなので、伝送における全区間にわたり送信元IPアドレスは端末aのIPアドレス、宛先IPアドレスは端末bのIPアドレスになります。
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逆に宛先MACアドレス、送信元MACアドレスは通信経路によって変化していきます。その理由はARPの到達範囲です。ARP(Address Resolution Protocol)はIPアドレスからMACアドレスを得るプロトコルですが、ARPはデータリンク層のプロトコルなので届く範囲はブロードキャストドメインに限られます。つまり同じネットワークセグメントに属する相手からはMACアドレスが取得できますが、ルータを超えた位置にある端末からはMACアドレスを得ることができません。
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パケットを送信しようとする端末aは、まず自分のIPアドレス情報と端末bのIPアドレス情報を照合します。そして端末bがルータを超えた先のネットワークに属することを知ります。ルータの先にある端末とは直接通信できないため、端末aはルータ1に端末bへの転送を依頼することになります。この際、端末aはARPで取得したルータ1のMACアドレスを宛先MACアドレスに、送信元MACアドレスに自分(端末a)のMACアドレスを設定して送出します。
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端末aからパケットを受け取ったルータ1は、パケットの宛先IPアドレスを取り出します。次に自分のルーティングテーブルを見て、パケットの適切な転送先がルータ2であることを知ります。先ほどと同様に、ルータ1はARPを用いてルータ2のMACアドレスを取得します。そして宛先MACアドレスにルータ2のMACアドレスを、送信元MACアドレスに自分(ルータ1)のMACアドレスを設定して送出します。
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ルータ1からパケットを受け取ったルータ2は、パケットの宛先IPアドレスを取り出します。次に自分のルーティングテーブルを見て、宛先の属するネットワークが自分に直接接続されていることを知ります。これまでの動作と同様に、ルータ2はARPを用いて端末bのMACアドレスを取得します。そして宛先MACアドレスに端末bのMACアドレスを、送信元MACアドレスに自分(ルータ2)のMACアドレスを設定して送出します。
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端末aから端末bへの通信は上記の手順で行われるため、モニターツールで採取されたパケットに含まれるアドレスの組合せは「ウ」になります。

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