令和3年秋期試験問題 午前問74

リーダーシップ論のうち,ハーシィ&ブランチャードが提唱するSL理論の特徴はどれか。

  • 優れたリーダーシップを発揮する,リーダー個人がもつ性格,知性,外観などの個人的資質の分析に焦点を当てている。
  • リーダーシップのスタイルについて,目標達成能力と集団維持能力の二つの次元に焦点を当てている。
  • リーダーシップの有効性は,部下の成熟(自律性)の度合いという状況要因に依存するとしている。
  • リーダーシップの有効性は,リーダーがもつパーソナリティと,リーダーがどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因に依存するとしている。
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分野:ストラテジ系
中分類:企業活動
小分類:経営・組織論
解説
ハーシィ&ブランチャードのSL理論(状況対応リーダーシップ理論)は、いかなる状況にも効果的な唯一万能のリーダー行動は存在しないという主張の下、リーダーシップの有効性を状況との関係で捉え、状況要素のうち最も重要である部下や集団(フォロワー)の能力及び意欲の水準(レディネス)ごとに、有効性が高いリーダーシップのスタイルを示したモデルです。

本モデルでは、部下に対する「指示の度合い」及び「協労の度合い」により、リーダーシップのスタイルを以下の4つに分類しています。
高指示・低協労(スタイル1、教示的)
職務遂行について指図することが多く、支援的な活動をすることは少ない
高指示・高協労(スタイル2、説得的)
職務遂行についての指図、支援的な活動がともに多い
低指示・高協労(スタイル3、参加的)
職務遂行についての指図することが少なく、支援的な活動をすることが多い
低指示・低協労(スタイル4、委任的)
職務遂行についての指図、支援的な活動がともに少ない
また、特定の課題に対する部下や集団の成熟度(レディネス)を、「能力」及び「意欲」により以下の4段階に分類し、順番に移行していくものとしています。
低能力・低意欲(レディネス1)
能力が低く、意欲も低い(または不安を感じている)
低能力・高意欲(レディネス2)
能力は低いが、意欲は高い
高能力・低意欲(レディネス3)
能力は高いが、意欲は低い(または不安を感じている)
高能力・高意欲(レディネス4)
能力が高く、意欲も高い
このように定義された4つのリーダーシップのスタイルと4つのレディネスを結び付けたのがSL理論です。有効性の高いリーダーシップスタイルは、部下の成熟度により以下のように結び付けられます。最良のリーダーシップスタイルは存在せず、それぞれのスタイルは状況によって、適切であったり、効果的であったりします。
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  • リーダーの個人的な資質に注目する考え方は特性論的アプローチと呼ばれます。以前は、リーダーの生来的な資質がリーダーシップにおいて有効であると考えられていましたが、数々の研究がそうではないことを示しています。
  • PM理論の説明です。SL理論ではリーダーシップのスタイルを、指示的行動(個人若しくは集団の任務や職務遂行のあり方を指定する)の度合いと、協労的行動(個人若しくは集団との双方向若しくは多方向的な意思疎通を行う)の度合いの2つの次元で分類しています。
  • 正しい。リーダーシップに影響を与える状況要素には、リーダー本人、フォロワー(部下など)、上司、同僚、組織、職務の要請、時間などがありますが、SL理論ではそのうちフォロワーの成熟度に依存する度合いが高いとしています。
  • コンティンジェンシー理論の説明です。SL理論ではリーダーシップの有効性は、リーダーが選択するリーダーシップのスタイルと、フォロワーの成熟度に依存するとしています。また、リーダーが発揮するパワーの効果も、フォロワーの成熟度に依存すると述べられています。

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