平成18年秋期試験問題 午前問11

相異なるn個のデータが昇順に整列された表がある。この表をm個のデータごとのブロックに分割し,各ブロックの最後尾のデータだけを線形探索することによって,目的のデータの存在するブロックを探し出す。次に,当該ブロック内を線形探索して目的のデータを探し出す。このときの平均比較回数を表す式はどれか。ここで,mは十分大きく,nはmの倍数とし,目的のデータは必ず表の中に存在するものとする。

  • nm
  • n2m
  • m+nm
  • m2n2m
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分野:テクノロジ系
中分類:アルゴリズムとプログラミング
小分類:アルゴリズム
解説
線形探索法を2回組み合わせて目的データを探し出すときの平均比較回数を求める問題です。探索するデータ数に注目して考えていきましょう。

線形探索法とは、探索対象データの先頭から1つずつ順番に比較することによって目的のデータを探す方法です。線形探索法では、N個のデータの中から目的のデータを探すときの平均比較回数は (N+1)/2 回です。

最初は、n個のデータをm個ごとのブロックに分割した最後尾のデータのみを探索します。表のデータは昇順に整列されているので、各ブロック最後尾の並びも昇順になっているはずです。この最後尾データの並びに対して「目的のデータ≦各ブロックの最後尾データ」を順次チェックし、目的のデータが存在するブロックを探します。
この1回目の探索では、データを1つずつチェックしていくので線形探索の考え方を準用できます。探索するデータ数は n/m個 なので、目的のデータが存在するブロックが決定するまでの平均比較回数は、

 (n/m+1)/2 [回]

2回目は、1回目の探索によって見つけたブロック内を線形探索します。探索するデータ数は m個 なので、目的のデータを見つけるまでの平均比較回数は、

 (m+1)/2 [回]

2つの比較回数の合計は、

 (n/m+1)/2 + (m+1)/2 [回]

となります。ここで、mは十分に大きいという条件が与えられていますが、n/mが十分に大きいとは限りませんので定数項の+1は無視できません。よって、以下のように式を変形します。

  (n/m+1)/2 + (m+1)/2
={(n/m+1) + (m+1)}/2
=(n/m + m + 2)/2
=n/2m + m/2 + 2/2
=n/2m + m/2 + 1

"n/2m"は、nがmより十分大きい場合に十分大きくなり無視できない、"+1"はm/2が十分大きいので無視できると考えると、定数項の+1を除いて n/2m+m/2。つまり、1回目と2回目の平均比較回数を合わせるとm2n2mになります。

※補足
上記の解説ではmが十分に大きいという理由で+1を除外していますが、線形探索の特性上、目的のデータが必ず存在するならば、最後の1つ前(n-1番目)の要素までの比較で目的のデータが見つからなかった場合、最後の要素が目的のデータであることが確定します。このため最小比較回数を 1回、最大比較回数を n-1回、平均比較回数を n/2回 として考えることもできるでしょう。この考え方だと1回目の平均比較回数が n/2m回、2回目の平均比較回数が m/2回となり、正解の式と一致します。

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