通信プロトコル - 46語(シラバス7.1)
TCP/IP
コンピュータネットワーク通信における基礎的なプロトコル群のことである。このプロトコルは、データの送受信を行う際に、どのようにして情報をパケットに分割し、宛先に届けるのかを決定するルールを定めている。TCPは、信頼性の高い通信を実現し、データの順序やエラーを管理する役割を果たす。一方、IPは、パケットを適切な地理的な場所に送るためのアドレス指定を行う。TCP/IPはインターネットの基盤となっており、Web、メール、ファイル転送など多くのサービスがこのプロトコルを利用している。TCP/IPが普及したことで、異なる機器やネットワーク間での通信が容易になり、グローバルな通信体系が構築された。
パケット
データ通信において送信するデータを小さな単位に分割したものである。インターネット上では、情報が様々な経路を経て伝送されるため、大きなデータをそのまま送るのではなく、パケットという形にして効率的に扱う必要がある。このデータ本体に加え、宛先や送信元の情報も含まれているため、受信側では適切に組み立てられ、元のデータとして再構成される。具体的には、Webページを閲覧する際に、そのページが複数のパケットに分かれ、インターネットを通じて送信されることで、情報がスムーズに届けられる。このように、パケットはデータ通信の基本的な構造を成し、インターネットの効率的な運用において重要な役割を果たしている。
ヘッダー
データ通信において、送信されるデータの最初に付加される情報のことである。特に、TCP/IPプロトコルのようなネットワーク通信において重要な役割を果たす。ヘッダーには、受信先や送信元のIPアドレス、データの種類、順序番号などが含まれ、これにより正確なデータ転送が行われる。例えば、Webページを表示する際、ブラウザはサーバからヘッダー情報を受け取り、その指示に従ってページを適切に表示する。ヘッダーは通信の管理やエラー検出に必須であり、通信の信頼性を高めるために重要な要素である。
ARP
IPアドレスを物理アドレスに変換するためのプロトコルである。コンピュータがネットワーク上で通信する際、データはIPアドレスによって送信先が指定されるが、実際の通信は物理アドレス、つまりMACアドレスを使用して行われる。このため、ARPは送信側のコンピュータが対象のIPアドレスを持つコンピュータのMACアドレスを特定する役割を果たす。具体的には、ARPはブロードキャストメッセージをネットワークに送信し、IPアドレスに対するMACアドレスを持つコンピュータからの応答を受け取ることで、必要な情報を取得する。このようにして、ARPは異なる通信層の間を橋渡しする重要な役割を担っている。
RARP
IPアドレスから物理アドレス(MACアドレス)を解決するためのプロトコルである。特に、ネットワークに接続されたデバイスが自分のIPアドレスを知らない場合に利用される。例えば、新しいデバイスがネットワークに加わると、RARPを使用して自身の物理アドレスを基に適切なIPアドレスを取得する。このプロトコルは主にデータリンク層で機能し、ネットワーク管理やデバイス設定を簡素化する役割を果たしている。最近ではDHCP(動的ホスト構成プロトコル)に取って代わられることが多いが、RARPはネットワーク通信の基盤を支える重要な技術であったといえる。
PPP
データリンク層における通信プロトコルの一つである。このプロトコルは、二点間でのデータ通信を効率的に行うための規則や手続きを定めている。主に、インターネット接続やリモート接続などで使用される。例えば、ダイヤルアップ接続の際に電話回線を利用してデータを送受信する方法がPPPによって管理されている。このプロトコルは、データの認証や圧縮、エラー検出を行うための機能も備えており、安全でスムーズな通信を実現する。さらに、複数のネットワークプロトコルを同時に扱うことができるため、柔軟性の高い通信手段として広く利用されている。
PPPoE
イーサネット上でポイントツーポイント接続を確立するためのプロトコルである。このプロトコルは、主にブロードバンド接続に使われ、ユーザーとインターネットサービスプロバイダー(ISP)間でデータ通信を行う際に必要な手段を提供する。具体的には、PPPoEはユーザー認証を行うことでセキュリティを確保し、個々の接続を管理しやすくする役割を果たす。例えば、家庭のルーターがPPPoEを使用することで、インターネット接続に必要な情報をISPから取得し、安定した通信環境を提供することができる。このプロトコルは、特にADSLや光ファイバーなどの接続方式で広く使用されている。
IPoE
イーサネット上でIP(インターネットプロトコル)を直接運ぶ技術である。この技術は、特にブロードバンド接続において使用され、データがパケットとしてネットワークを通過する際に、非常に効率的に通信を行うことを可能にする。具体的には、IPoEを利用することで、ユーザーは物理的な接続の設定を簡素化でき、ネットワークの構成が容易になる。本技術は、特に光回線やFTTH(Fiber To The Home)サービスにおいてよく用いられ、従来のPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)に比べて、接続の安定性や速度が向上することが期待される。また、ネットワーク上でのトラフィック管理やQoS(Quality of Service)の向上にも寄与し、ユーザーにより良いネットワーク体験を提供する。
VLAN
コンピュータネットワーク内の論理的なセグメントを作成する技術である。この技術により、物理的には同じネットワークに存在していても、異なるグループに属するデバイス同士の通信を隔離することが可能になる。具体的には、企業内で部署ごとにネットワークを分けることで、セキュリティの向上やトラフィックの効率的な管理が実現される。VLANはデータリンク層で機能し、スイッチを使用して設定される。これにより、デバイスが物理的な配置に関係なく、必要な通信が行えるようになり、ネットワークの柔軟性が向上する。
IEEE802.1Q
ネットワークにおいて仮想LAN(VLAN)を実現するための標準規格である。この規格は、異なるVLAN間でのデータのやり取りを実現し、ネットワークの効率性とセキュリティを向上させる。具体的には、EthernetフレームにVLANタグを追加することで、フレームがどのVLANに属しているかを示す。これにより、同一の物理ネットワーク上に複数の論理ネットワークを作成でき、ネットワーク管理者はトラフィックの制御や、異なるユーザーグループの分離が容易になる。また、VLANを利用することで、ネットワークの拡張や再構成が柔軟に行えるため、企業のニーズに応じた適応が可能である。
IPアドレス
インターネットやイントラネット上でデバイスを識別するための一意の番号である。この番号は、デバイスが受信するデータを正確に送信するために必要不可欠で、ネットワーク上での位置情報の役割を果たす。たとえば、家の郵便番号が住所を特定するのと同じように、IPアドレスも各デバイスに特定の位置を与える。このアドレスはIPv4とIPv6の二つの形式が存在し、IPv4は32ビットの数値(例:192.168.0.1)、IPv6は128ビットの数値形(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)で提供される。これにより、世界中の無数のデバイスを区別し、スムーズな通信を可能にしている。
サブネットアドレス
ネットワーク内のデバイスを組織的に管理するために、IPアドレスを細分化したものである。これにより、大規模なネットワークを小さな部分に分けて管理することが容易になる。例えば、企業のネットワークが大きい場合、サブネットを使用することで、部門別や機能別にネットワークを分け、それぞれのサブネット内のデバイスの通信を効率化できる。通常、IPアドレスの一部をネットワーク識別用に使用し、残りをホスト識別用に使う。これにより、限られたIPアドレスをより効率的に利用し、ネットワークのセキュリティやパフォーマンス向上を図ることができる。
サブネットマスク
IPアドレスのネットワーク部分とホスト部分を区別するための識別情報である。このマスクは、どの部分がネットワークを示し、どの部分がそのネットワーク内の個々のデバイス(ホスト)を示すかを特定する役割を果たす。たとえば、IPv4アドレスの形式では、サブネットマスクは通常255.255.255.0のように表現され、これにより最初の3つのオクテット(255の部分)がネットワークを特定し、最後のオクテットがホストを特定することを示す。ネットワークの効率を向上させ、管理を簡単にするために、IPアドレスを小さなネットワークに分割する際に非常に重要である。この分割により、トラフィックの流れが最適化されるため、大規模なネットワークでも安定した通信が可能になる。
物理アドレス
コンピュータネットワークにおいて、データ通信を行う機器のハードウェアに割り当てられた一意の識別番号である。このアドレスは、ネットワーク層での通信において重要な役割を果たしており、特にデータリンク層で使用される。具体的な例としては、Ethernet通信で使われるMACアドレスが挙げられる。データが特定のネットワーク機器に届くようにするために必要であり、これによりデータの正確な送受信が実現される。物理アドレスは通常ハードウェアに埋め込まれており、変更が難しいため、通信を行う際の信頼性を向上させる要因となっている。
ユニキャスト
特定の送信者から特定の受信者へデータを送信する通信方式である。この方式では、一対一の通信が行われ、送信されたデータは指定された受信者だけが受け取ることができる。例えば、インターネット上でメールを送る際、特定の相手に対して個別にメッセージが届くのがユニキャストの例である。この通信方式は、他の通信方法、例えばマルチキャストやブロードキャストと対比されることが多く、ユニキャストは通常、個別のデバイス間でのやりとりに適している。ネットワークの効率を考慮すると、多数の受信者に同じデータを送る場合には別の手法が推奨されることもあるが、ユニキャストはそのシンプルさから広く用いられている。
ブロードキャスト
特定のネットワーク内の全ての端末に対して同時にデータを送信する通信方法である。この手法は、ネットワーク層で使われるプロトコルの一つであり、主にLAN(ローカルエリアネットワーク)内で用いられる。例えば、家庭用ルーターがネットワーク内の全てのコンピュータに同じ情報を送信する場合がある。これにより、一度の送信で多数のデバイスにデータを配信できる利点がある。しかし、同時にトラフィックが増加することで、ネットワークの効率が低下する可能性もあるため、適切に使用することが重要である。
マルチキャスト
データを特定のグループに同時に送信する通信方法である。ポイントツーポイントの通信と異なり、マルチキャストでは一つのデータを複数の受信者に効率的に届けることができる。例えば、インターネットのテレビストリーミングサービスがこの技術を利用して、大勢の視聴者に同時に映像を配信する際に用いられる。ネットワーク帯域幅の無駄を減らし、リソースを効率的に活用するために役立つ。また、IPマルチキャストというプロトコルがあり、特定のIPアドレスを持つグループにデータを送ることができ、この仕組みがテレビ、ラジオ、オンライン会議などさまざまなアプリケーションで利用されている。
ICMP
ネットワーク層で動作するインターネット制御メッセージプロトコルである。主な役割は、ネットワーク内でのエラーメッセージの送信や診断情報の提供である。たとえば、あるホストがデータを送信する際に、宛先が到達不能である場合、ICMPはその情報を送信元に通知する。これにより、ネットワークの問題を特定しやすくなり、管理者は障害の原因を見つける手助けができる。また、ICMPは「ping」コマンドのようなツールで利用され、ネットワークの接続性をテストする際に非常に便利である。ネットワーク通信のトラブルシューティングに不可欠な要素となっている。
CIDR
IPアドレスの割り当てとルーティングを効率的に行うための手法である。従来のIPアドレス割り当ては、クラスA、B、Cといった固定のクラスに基づいていたが、CIDRでは、ネットワークのサイズに応じて柔軟にアドレス空間を分配することができる。この手法により、無駄なアドレスを減らし、インターネット上のルーティングテーブルも小さく保つことが可能となる。例えば、「192.168.0.0/24」という形式で表現されるCIDR記法により、ネットワークが実際に必要とするアドレス数を効率的に管理できるため、インターネットの成長に寄与している。特に大規模なネットワークでのアドレス使用の最適化において重要な技術である。
IPv6
インターネットプロトコルの第6版であり、IPアドレスを管理するための主要な技術である。IPv4に代わるもので、より多くのアドレス空間を提供するために設計されている。IPv4が約42億のユニークなアドレスを持つのに対し、IPv6は約340兆兆兆のアドレスをサポートするため、今後のインターネットの成長に対応することができる。自動設定機能やセキュリティの強化、通信の効率化が図られており、IoT(モノのインターネット)デバイスの増加に適したインフラを提供する。また、アドレスの表記が16進数であることから、各アドレスが簡潔に扱えるのも特徴である。これにより、将来的な接続デバイスの増加に対しても柔軟に対応できるようになっている。
TCP
インターネット上でデータを安全に送受信するためのプロトコルである。TCPはデータを小さな単位に分け、受信側に順序正しく届けることを保証する機能を持つ。例えば、電子メールやWebページの表示には、TCPが使用される。このプロトコルは、データが正確に届いたかどうかを確認する仕組みがあるため、通信の信頼性が高い。また、データが欠けた場合には再送信を要求することで、正確な情報伝達を実現している。インターネット通信の基盤を成しており、ユーザーが快適にサービスを利用できるよう支えている。
UDP
インターネット上でデータを送信するための通信プロトコルの一つである。データを小さな単位である「データグラム」として送る方法を採用しており、通信の際には接続を確立せずにデータを送ることができる。このため、迅速にデータを送信することが可能であるが、信頼性が低く、送信したデータが必ず届くわけではない。たとえば、オンラインゲームや動画ストリーミングのように、多少のデータの欠損が影響を与えにくい用途で主に利用されている。シンプルで高速な通信を実現するための重要なプロトコルとして、多くのインターネットアプリケーションで活用されている。
ポート番号
ネットワークにおける通信の接続先を特定するための識別番号である。これは、特定のアプリケーションやサービスが利用するデータの経路を示すもので、通常は0から65535までの範囲で指定される。トランスポート層においては、一般的なプロトコルとしてTCPやUDPがあり、これらはそれぞれ特定のポート番号を用いて通信を行う。たとえば、WebサイトへのアクセスにはHTTPが使用され、デフォルトではポート80が割り当てられている。この仕組みにより、同じIPアドレスを持つ複数のサービスが同時に動作することが可能になり、ネットワークの効率を高める役割を果たしている。
HTTP
Web上で情報をやり取りするためのプロトコルである。Webブラウザとサーバ間でデータを送受信する際に使用され、主にWebページやそのコンテンツを取得する役割を果たす。HTTPの動作はリクエストとレスポンスの形式をとり、ブラウザが特定のURLを入力すると、その情報を要求するリクエストを送信する。一方、サーバはそのリクエストに応じて、必要なデータを含むレスポンスを返す。この仕組みにより、テキスト、画像、動画など様々な形式のデータをスムーズに取得でき、インターネット上の情報の閲覧が可能となる。また、HTTPにはセキュリティを強化するためのHTTPSというバージョンも存在し、データの暗号化や安全な取引を行う際に利用される。
SMTP
電子メールを送信するためのインターネットプロトコルである。このプロトコルは、メールクライアントとメールサーバ間、またはサーバ同士がメールを転送する際に使用される。SMTPでは、送信者のメールアドレスや受信者のメールアドレス、件名などの情報が含まれるメッセージを、指定されたサーバに届ける仕組みが整っている。例えば、GmailやYahooメールなどのメールサービスでは、このプロトコルを利用してメールが自動的に送信される。SMTPはシンプルで効率的な設計がなされているため、電子メールの根幹を支える重要な役割を果たしている。
POP
電子メールを受信するためのプロトコルである。このプロトコルは、メールサーバからクライアントにメールをダウンロードするための規則や手順を提供する。POPを利用することで、ユーザーはインターネット経由でメールを受け取り、その後はローカルデバイスに保存することができる。一般的には、メールサーバ上にあるメッセージはダウンロード後に削除されるため、オフラインでもメールを確認できる利点がある。これにより、インターネット接続がなくても過去のメールを読むことが可能となる。ただし、複数のデバイスでメールを管理する場合には、IMAP(Internet Message Access Protocol)と比較して、若干の不便さがあることに留意が必要である。
FTP
ファイルをネットワーク上で転送するためのプロトコルである。主に、クライアントとサーバ間でのファイルのアップロードやダウンロードを行う際に使用される。ユーザーはFTPソフトウェアを用いて指定のサーバに接続し、ファイルを選択して転送を行うことができる。このプロトコルは、特に大容量のデータや多くのファイルを扱う際に便利である。また、FTPはセキュリティ機能を持たないため、より安全な転送を求める場合はSFTP(Secure FTP)などの代替プロトコルが利用される。Webサイトの管理やデータのバックアップなど、様々な用途に広く用いられている。
DNS
インターネットやネットワーク上のホスト名をIPアドレスに変換するシステムである。人間が理解しやすい文字列のドメイン名を入力すると、DNSサーバがその名に対応する数値のアドレスを返すことで、ブラウザなどが正しいサイトに接続できる仕組みになっている。例えば、「www.example.com」というドメイン名を入力すると、DNSがその裏にあるIPアドレス(例:192.0.2.1)を特定し、リクエストを正しいサーバに送信する。DNSがないと、ユーザーは数字のIPアドレスを直接入力する必要があり、非常に不便であるため、私たちのインターネット利用をスムーズにする重要な役割を果たしている。
TELNET
ネットワーク上のリモートコンピュータに接続して操作するためのプロトコルである。主に、端末エミュレーションを行い、コマンドラインインターフェースを介して他のコンピュータにアクセスする際に使用される。例えば、ユーザーは自分のコンピュータからTELNETを利用して、別のサーバに接続し、コマンドを入力してそのサーバ上で実行することができる。このプロトコルは、シンプルで広く使われていたが、セキュリティの観点から代替のSSHプロトコルが一般的になっている。それでもなお、TELNETはネットワークの学習やデバッグツールとして今日でも活用されている。
DHCP
ネットワークに接続されるデバイスに自動的にIPアドレスやその他の設定情報を割り当てるためのプロトコルである。これにより、手動での設定作業を省略でき、特に大規模なネットワークでは管理が容易になる。DHCPサーバは、ネットワーク上でデバイスが接続される際に、利用可能なIPアドレスの中から適切なものを選び、その情報をデバイスに送信する。たとえば、家庭や企業のネットワークでは、パソコンやスマートフォンなどがDHCPを利用して自動的にIPアドレスを取得し、インターネットに接続できるようになっている。このように、DHCPはネットワークの効率と利便性を高める重要な役割を果たしている。
IMAP
電子メールを管理するためのプロトコルである。IMAPを使用すると、ユーザーは複数のデバイスからメールボックスにアクセスし、メールを読み書きすることが可能となる。これは、メールがサーバ上に保存されているため、どのデバイスでも最新のメール状態を確認できるという特性を持つ。また、IMAPはフォルダ機能をサポートしており、メールを整理することが容易である。たとえば、スマートフォンやパソコンで同時にメールを確認しても、未読・既読の状態が一致するため、非常に便利である。特にビジネスシーンなどで広く利用されている。
NTP
コンピュータ同士が正確な時刻を同期するための通信プロトコルである。NTPを使用することで、異なる場所にある複数のコンピュータが、同じ標準時間に基づいて動作することが可能になる。たとえば、サーバが異なるタイムゾーンで運用されている場合でも、NTPを使えば全ての機器が同じ時刻に合わせられるため、データの正確な記録やログの管理が容易になる。このように、インターネット上のサービスやシステムが正確な時刻で連携するために不可欠な技術である。
SOAP
異なるシステム間でデータを交換するための通信プロトコルである。主にWebサービスで使用され、XMLという形式でメッセージを記述することが特徴である。これにより、さまざまなプラットフォームやプログラミング言語間での相互運用性が確保される。たとえば、ある企業が自社のシステムと他社のシステムを連携させる際、SOAPを使用することで、データのフォーマットに関係なくスムーズに情報をやり取りできる。このように、SOAPはビジネスプロセスの自動化やサービス提供において重要な役割を果たしている。
HTTP/2
Web上でのデータ転送のためのプロトコルの一つである。これは、従来のHTTP/1.1を基にしており、ページの読み込み速度を向上させるために設計された。例えば、複数のリクエストを同時に処理できる「フレーミング」と呼ばれる仕組みを持っており、これによりWebサイトの表示を速くすることが可能である。また、データを効率的に圧縮し、サーバとの通信を最適化する機能があるため、ユーザー体験が向上する。このように、HTTP/2はモダンなWebの性能を向上させる重要な技術であり、現在、多くのWebサービスで利用されている。
HTTP/3
Web通信のための最新のプロトコルであり、インターネット上でのデータ転送を効率的に行うために設計されている。従来のHTTP/1.1やHTTP/2と異なり、HTTP/3はQUICというトランスポートプロトコルを基にしている。このQUICは、データのやり取りを迅速に行うために、接続の確立やデータ送信の遅延を減少させる特性を持つ。たとえば、インターネットが混雑しているときでも、HTTP/3を使用するとページの読み込みが速くなり、ユーザー体験が向上する。また、HTTP/3は暗号化通信を標準装備しているため、安全性の向上に寄与している。これにより、Webサイトのセキュリティが一層強化され、信頼性の高い通信が可能となる。
10BASE-T
イーサネットの一つで、10メガビット毎秒の速度でデータを伝送する方式である。主にツイストペアケーブルを使用し、最大100メートルの距離まで通信が可能である。この規格は主にローカルエリアネットワーク(LAN)で使用され、オフィスや家庭内のデバイスを接続する際に非常に一般的である。たとえば、パソコンやプリンタを同じネットワークに接続する際に使われる。また、10BASE-Tは自動的に接続の速度を調整できるため、異なるデバイス間での通信がスムーズに行えるメリットを持つ。このように、ネットワーク構築において基本的ながら重要な役割を果たしている。
100BASE-TX
100メガビット毎秒の通信速度を持つイーサネット規格の一つである。この規格は、主にツイストペアケーブルを使用して、データを送受信するために設計されている。通信距離が最大100メートルで、接続するデバイスが多くのオフィス環境や家庭内ネットワークで広く使用されている。具体的には、ネットワーク機器同士が高速でデータを交換し、インターネットアクセスを迅速に行える利点を持つ。このように、LAN環境における高速データ通信のための基本的な選択肢として位置付けられている。
1000BASE-T
イーサネットの一種であり、最大1000Mbps(1Gbps)のデータ伝送速度を持つ通信方式である。この方式は、通常のツイストペアケーブルを使用しており、最長で100メートルの範囲内でのデータ通信が可能である。一般的なLAN環境で広く利用されており、これにより高速なインターネット接続や企業内ネットワークが実現されている。特に、オフィスやデータセンターでは、多数のデバイスが同時に接続されることが求められるため、このような高速通信方式が重要である。さらに、古い規格である100BASE-TX(100Mbps)との互換性があるため、システムのアップグレードもスムーズに行える。
10GBASE-T
10ギガビットEthernetの規格であり、LAN(ローカルエリアネットワーク)において、高速データ通信を実現する方法である。この規格は、ツイストペアケーブルを使用して最大100メートルの距離でデータを送受信することができるため、既存のネットワークインフラを活用できる利点がある。具体的には、企業のネットワークにおいて、大容量のデータやストリーミングメディアを効率的に転送することが求められるシーンで、10GBASE-Tは非常に有用である。また、この技術は、データセンターやサーバファームなどでの使用も広がっており、ネットワークのパフォーマンス向上に寄与している。
IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
無線通信に関する標準規格の群であり、主にWi-Fi技術を示す。それぞれのバージョンは異なる通信速度や周波数帯域を持ち、技術の進化と共にデータ転送速度が向上している。たとえば、802.11aは5GHz帯域を使用し、最大54Mbpsの速度を提供する。一方、802.11nは450Mbpsにまで対応し、より広い範囲での接続を実現している。最近の802.11acや802.11axは、さらに高速なデータ転送と同時接続が可能で、家電製品やモバイルデバイスなど、さまざまなデバイスが接続される環境において非常に重要な役割を果たしている。これらの規格は、無線LANの性能や利便性を向上させ、私たちの日常生活に深く浸透している。
Wi-Fi4/5/6/6E
無線LANの規格であり、それぞれ異なる性能や特徴を持つ。Wi-Fi 4は802.11nに基づき、最大速度は600Mbpsで、広範囲のカバレッジが特徴である。Wi-Fi 5(802.11ac)は、より高いデータ転送速度を提供し、ビデオのストリーミングやオンラインゲームに適している。Wi-Fi 6(802.11ax)は、更なる速度向上と多くのデバイス接続に対応しており、最大速度は9.6Gbpsに達する。Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6に加えて、6GHz帯の周波数を利用することで、混雑した環境でも接続品質を向上させる。これらの規格は、無線通信の効率を一層向上させ、家庭やオフィスでのインターネット利用を円滑にするために重要である。
メッシュWi-Fi
複数の無線アクセスポイントが相互に接続されて、広い範囲をカバーする無線ネットワークの構成方式である。従来のルーターに比べて、メッシュWi-Fiはデッドゾーンを減らすことができ、家庭やオフィス内でのWi-Fiの到達範囲が広がる。このシステムでは、各アクセスポイントが信号を中継し合い、最適な経路でデータを送受信する能力を持つ。たとえば、大きな家や複数の階層を持つ建物でのインターネット接続が安定しやすくなることから、ユーザーはストリーミングやオンラインゲームを快適に楽しむことができる。メッシュWi-Fiは設置が簡単で、拡張性も高いため、今後ますます普及していくと考えられている。
CORBA
異なるプログラミング言語やプラットフォームで作成されたアプリケーション同士が通信するための標準技術である。オブジェクト指向の考え方に基づき、分散システムを構築するためのインフラを提供する。たとえば、あるアプリケーションがJavaで作られ、別のアプリケーションがC++で作られていた場合でも、CORBAを通じて情報をやり取りできる。これにより、異なる環境で動作するアプリケーション同士がシームレスに連携でき、システム全体の柔軟性が向上する。また、オブジェクトの呼び出しや応答を処理するための「オブジェクトリクエストブローカー(ORB)」というコンポーネントを利用し、通信を効率的に管理する役割も果たしている。
クライアント
コンピュータネットワークにおいて、サービスを要求する側のデバイスやプログラムを指す。特にCORBA(Common Object Request Broker Architecture)の文脈では、クライアントは特定のオブジェクトの機能を利用するために、リモートサーバにリクエストを送る役割を果たす。これにより、クライアントは他のコンピュータ上で動作するサーバが提供する機能やデータにアクセス可能となり、分散システムの構築が容易になる。たとえば、WebブラウザがWebサーバから情報を取得する際にも、ブラウザはクライアントとして機能し、サーバから提供されるリソースを利用することで、ユーザーに対して必要なコンテンツを表示するのである。クライアントとサーバの連携は、現代の多くのITシステムにおいて根幹を成している。
オブジェクトサービス
分散オブジェクト指向プログラミングにおけるサービスの一つである。このサービスは、異なるコンピュータ間でオブジェクトを利用するための機能を提供し、CORBA(Common Object Request Broker Architecture)などの技術基盤上で動作する。具体的には、データの共有やリソースの管理、オブジェクト間の通信を容易にするための仕組みが整備されている。オブジェクトサービスを利用することで、開発者は複雑な処理を簡素化でき、再利用可能なコンポーネントを効率的に構築することが可能である。これにより、アプリケーションの開発速度が向上し、特に大規模なシステムにおいてその利点が顕著に表れる。
リクエストアプリケーションオブジェクト
CORBA(Common Object Request Broker Architecture)における重要なコンポーネントである。これは、クライアントからサーバへの要求を管理する役割を果たし、リモートオブジェクトへのアクセスを円滑に行うための構造である。具体的には、クライアントがサーバにメッセージを送信し、その結果を受け取る過程を支援し、通信プロトコルやデータ形式の違いを抽象化する。異なるプラットフォームやプログラミング言語間での情報交換を可能にし、分散システムの実装を簡素化する役割も持っている。このため、企業のシステム統合や、マイクロサービスアーキテクチャにおける連携にも広く使用されている。