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データベース方式 - 45語(シラバス7.1)

RDB

データを表形式で管理するリレーショナル・データベースである。各データは行と列で構成されたテーブルに格納され、これにより関連するデータを効率的に管理できる。たとえば、顧客情報を格納するテーブルと、注文情報を格納するテーブルを用意し、それらを関連付けることで、特定の顧客が過去にどのような注文をしたかを簡単に知ることができる。データの整合性や一貫性を保つための機能も持っており、多くの企業やアプリケーションで広く利用されている。代表的なRDBとしては、MySQLやPostgreSQLなどがある。

構造型データベース

データを特定の形式や構造に従って保存するデータベースの一種である。具体的には、データは表形式で管理され、各列が特定の属性を示し、各行が個別のレコードを表す。例えば、顧客情報を管理する場合、顧客の名前や住所、電話番号などをそれぞれの列に分けて保存することで、効率的にデータを操作できる。このようにSQL(Structured Query Language)を使ってデータを簡単に取得・更新できるため、データの整合性や効率の面で優れている。また、リレーショナルデータベースがその代表的な例であり、様々なビジネスシステムで広く用いられている。

HDB

異なるデータモデルを統合して管理するハイブリッドデータベースである。これにより、リレーショナルデータベースと非リレーショナルデータベースの両方の特性を活かし、柔軟なデータ管理が可能になる。たとえば、企業が顧客データをリレーショナル形式で保存しつつ、ログデータを非リレーショナル形式で管理することで、異なるニーズに対応しやすくなる。このように、HDBはより多様なデータを効率的に扱うことができ、ビジネスの迅速な意思決定を支援する役割を果たす。

NDB

データをグラフ構造で管理するネットワークデータベースである。この方式では、データがノード(点)とエッジ(線)で表現され、複雑な関係を柔軟に扱えるのが特徴である。たとえば、顧客情報と注文情報がある場合、顧客と注文の間に直接的な関係を持たせることができ、迅速に関連データを取得できる。データの関連性が強いビジネスシナリオにおいて有利であり、特に大規模なデータを扱う際にその効果を発揮する。このため、特定の用途やシステムにおいては、リレーショナルデータベースよりも適した選択となることがある。

OODB

データをオブジェクトとして管理するオブジェクト指向データベースである。従来のリレーショナルデータベースでは、データは表形式で格納されるのに対し、OODBはプログラミングのオブジェクトと同様に、データとその動作を一緒に扱うことができる。この特性により、複雑なデータ構造やリレーションシップを自然に表現することが可能である。たとえば、製品情報を管理する際、製品というオブジェクトにその特性や動作を直接関連付けることで、実際のプログラミングと一致したデータ操作が実現する。特に複雑なデータを扱うアプリケーションや、高度なデータ管理が必要な場合に向いている。

XMLデータベース

XML(拡張可能マークアップ言語)形式でデータを保存・管理するためのデータベースである。従来のリレーショナルデータベースと異なり、XMLデータベースは階層構造でデータを扱うため、複雑なデータを自然に表現できる特性を持つ。たとえば、Web上での情報交換やAPIから取得したデータを、そのまま保存して検索することが容易である。また、XMLは自己記述型のデータフォーマットであるため、データの構造が明示化され、他のシステムとの連携も簡単である。これにより、情報の一貫性や柔軟性が向上するため、さまざまな分野で活用されている。

分散データベース

データが複数のコンピュータやサーバに分散して保存されるデータベースのことである。この形式では、各サーバが独立してデータを管理し、必要に応じて相互に通信してデータを取得する。例えば、大規模なオンラインストアでは、在庫情報が異なる地理的な場所に分散して保存され、それぞれの店舗のニーズに応じたデータがリアルタイムで更新されることがある。分散データベースの利点は、データの可用性やスケーラビリティが高まり、単一の障害点による影響を最小限に抑えられる点にある。このため、効率的なデータ管理が求められる環境において特に有用である。

ドキュメント指向データベース

データをドキュメント形式で管理するデータベースの一種である。この種のデータベースでは、各データが自己完結した情報の塊として保存され、JSONやXMLといった構造化されたフォーマットで記述される。例えば、Webアプリケーションでユーザー情報を保存する際、各ユーザーのデータを個別のドキュメントとして格納できる。これにより、データの追加や更新が柔軟に行えるため、スキーマが固定されていない特徴を持つ。この利点は、変化の速い環境で開発を行う際に特に役立ち、多様なデータ構造を扱いやすくする。

列指向データベース

データを列単位で保存して管理するデータベースの一種である。一般的な行指向データベースがデータを行単位で保存するのに対し、列指向では同じ属性のデータがまとまって保存されるため、特定の列に対するクエリ性能が向上する。たとえば、分析業務やビッグデータ処理において、多数の行から特定の数列だけをピックアップする場合、列指向データベースは効率的にデータを取得できる。この特性により、データの圧縮率が高く、クエリの速度が速くなるため、大量のデータを扱う場合でもパフォーマンスが維持される。分析処理が頻繁に行われる現代のビジネスシーンにおいて、列指向データベースの利用が増加している。

グラフデータベース

データをノード(点)とリレーションシップ(線)で表現するデータベースの一種である。この形式では、データ同士の関連性を視覚的に表現することができるため、複雑な関係を持つデータの管理に適している。例えば、ソーシャルネットワークのデータを考えると、ユーザー同士のつながりやフォロー関係をノードとリレーションシップで表現できる。このような特性により、検索や分析が迅速で、特定のパターンや関係を発見するのに効果的である。また、トランザクションの履歴や推薦システムなど、様々な分野で応用されている。

キーバリュー型データベース

データを「キー」と「バリュー」のペアで管理するシンプルなデータベースの一種である。ここで「キー」はデータを一意に識別するための名前やIDであり、「バリュー」はそのキーに関連付けられた具体的なデータを指す。例えば、ユーザー情報を扱う場合、ユーザーIDをキーとして、そのユーザーの名前やメールアドレスをバリューとして保存する。データの取得が高速でシンプルなため、特に大量のデータを扱うアプリケーションに向いている。一般的に、スケーラビリティや性能を重視したシステムとして利用され、RedisやDynamoDBなどが代表的な例である。

インメモリデータベース

データを主にメモリ上に保持するデータベースのことである。これにより、データアクセスが高速になり、従来のディスクベースのデータベースよりも圧倒的に迅速な処理を可能にする。例えば、ビッグデータの解析やリアルタイムのトランザクション処理において非常に効果的であり、金融業界やオンラインゲームなど、高速な応答が求められるシステムでよく使用される。データの永続性を確保するために、一部のシステムではバックアップとしてディスクにもデータを保存する機能を持つことがある。これにより、メモリ内のデータが消失した場合でも安全性が保たれる仕組みとなっている。

3層スキーマ構造

データベース設計における概念であり、データを異なる視点から管理するためのフレームワークである。この構造は実体スキーマ(物理的なデータストレージ)、論理スキーマ(データの基本的な構造と関係)、そして外部スキーマ(ユーザーの視点や要求に基づいたデータ表示)という三つの層から成り立っている。これにより、データベースの柔軟性と独立性が高まり、異なるアプリケーションやユーザーが同じデータを異なる方法でアクセスできるようになる。たとえば、同じデータベースから生成される報告書やグラフは、異なる外部スキーマによって表示されるため、一つのデータ群から多様な情報を引き出すことが可能となっている。このデータの管理と活用を効率化するために非常に重要な役割を果たしている。

概念スキーマ

データベースの3層スキーマアーキテクチャにおける中間層の一部であり、データベースの全体的な構造や関係を定義するものである。このスキーマは、データの論理的なモデルを提供し、ユーザーにとって理解しやすい形でデータがどのように関連しているかを示す。例えば、学校のデータベースにおいて、学生、教師、科目に関する情報がどのように結びついているかを描写する。実際のデータの物理的な保存方法を意識せずに、データの意味やロジックに焦点を当てるため、アプリケーションやユーザーが必要とするデータの視点を提供する役割を持つ。これにより、データベースの設計や運用がより効率的になる。

外部スキーマ

データベースの3層スキーマアーキテクチャにおける層の一つであり、ユーザーがデータベースにアクセスするための視点を提供する仕組みである。特定のアプリケーションやユーザーによって必要とされるデータの構造や形式を定義しており、データの表示や取得方法をカスタマイズする役割を持つ。たとえば、販売管理システムにおいて、営業部門のユーザーが必要とするのは売上データの集計結果であれば、経理部門のユーザーは取引の詳細を重視するかもしれない。それぞれのユーザーグループのニーズに応じて異なる形式を提供し、データへのアクセスをより効率的かつ便利にするために設計されている。

内部スキーマ

データベースの構造を定義するためのスキーマの一つであり、データがどのように物理的に格納されるかを示している。具体的には、データがディスク上にどのように配置されているのか、インデックスやアクセス方法がどのように設定されているかといった詳細が含まれる。例えば、企業の顧客情報をデータベースに保存する場合、内部スキーマはどのようにデータを効率的に読み書きするのか、またデータの記憶形式として、どのようなデータ構造を使用するのかを示す。このスキーマが適切に設計されていると、データベースのパフォーマンスや効率が向上し、大量のデータ処理でもスムーズに行えるようになるため、重要な役割を果たしている。

論理データモデル

データの構造や関係を抽象的に表現する手法であり、データベースの設計において重要な役割を果たす。これは、実際のデータベースを構築する前に、どのようなデータが必要で、それらがどのように関連し合うかを示すものである。例えば、顧客管理システムでは、顧客情報、注文情報、商品情報などがそれぞれのエンティティとして存在し、顧客と注文の関係性を表現することができる。このモデルを使うことで、データの整合性や効率的な処理を目指すことができ、後の物理データモデルの設計に役立てることができる。データをより理解しやすく管理できるようにするため、重要なステップとなる。

物理データモデル

データベース設計の一環として、実際のデータの格納方法や構造を詳細に記述したものである。このモデルでは、特定のデータベース管理システム(DBMS)に最適化された形式でデータの型、長さ、インデックスの設定などが明示される。たとえば、顧客情報を管理するデータベースにおいて、名前や住所をどのようにテーブルに格納するかを具体的に示す。効率的なデータの入出力や検索を行うための基盤となり、システムのパフォーマンスを向上させる役割を持つ。これにより、ユーザーが必要な情報を迅速に取得できる環境を提供することが可能となる。

関係モデル

データベースにおけるデータの構造を定義するための方法の一つである。このモデルでは、データはテーブル(表)形式で整理され、各テーブルは行と列から構成される。行はレコードを表し、列はそれぞれの属性を示す。例えば、「顧客」というテーブルには、顧客の名前、住所、電話番号などの情報が行として記録される。関係モデルの特徴として、異なるテーブル同士の関連を示すことができるため、情報の取得や操作が効率的に行える。これは、SQL(Structured Query Language)を使用してデータの照会や更新を行う際に非常に役立ち、データの整合性や一貫性を保つのに重要である。

階層モデル

データベースにおけるデータの組織化方法の一つであり、データが階層的な構造で管理されるモデルである。このモデルでは、データが親子関係で組織され、1つの親データが複数の子データを持ち、子データはただ一つの親データに属する。たとえば、会社の組織図を考えた場合、社長が親データとなり、その下に各部門のマネージャーが子データとして位置づけられる。階層モデルは設計がシンプルでデータの整合性を保ちやすいが、あまり柔軟性がなく、特定のデータ間の関係性を表現するのには限界があるため、他のデータモデルも併用されることがある。

ネットワークモデル

データベースのデータモデルの一つであり、データの関係性をグラフのように構造化する方法である。具体的には、データがノード(節点)として表現され、そのノード同士がエッジ(辺)でつながる形で情報を管理する。たとえば、各ノードは顧客や製品を表し、エッジはそれらの関係を示す。このモデルは、複雑な関係性を持つデータをうまく表現できるため、特に多対多のリレーションシップが存在する場合に有効である。また、データの更新や参照が効率よく行える点から、特定の用途でのパフォーマンスが求められるシステムにおいて利用されることが多い。

グラフ型のデータモデル

データ同士の関係をグラフの形で表現するデータモデルのことである。特に、プロパティグラフとトリプルストアの2つが該当する。プロパティグラフは、ノード(点)とエッジ(線)によって構成され、ノードには属性情報が持たれる。例えば、ソーシャルネットワークにおいて、ユーザーをノード、彼らの友人関係をエッジとして表現できる。一方、トリプルストアは、主語・述語・目的語の3つの要素でデータを表現する。これは、知識ベースやセマンティックWebに適しており、情報の取得や推論を容易に行うことができる。このように、複雑なデータの関係性を可視化し、柔軟な情報管理を可能にする。

関係

データベースにおける関係モデルにおいて、データのセットを表す構造の一つである。この表形式のデータを扱い、行と列で構成されている。行はレコードを表し、それぞれのレコードは特定の情報を保持する。一方、列は各データ項目の属性を示す。例えば、学生の情報を管理する場合、「学生」関係では、名前や年齢、学籍番号といった列が設定され、それらの情報が各学生に対する行として格納される。また、リレーションは異なる関係同士の結びつきを表現することができ、効率的にデータの整合性を保ちながら管理や検索を行うことが可能である。

タプル

データベースの関係モデルにおいて、行または組を表す基本的な単位である。具体的には、表(テーブル)の中の1行ひとつひとつがタプルであり、各タプルは複数の属性(カラム)を持ち、データの具体的な値を保持する。たとえば、顧客データを記録した表の場合、1人の顧客に関する名前や住所、電話番号などの情報を1つのタプルとして表現することができる。このように、タプルは情報を整理し、データを効率的に管理する上で非常に重要な役割を果たすのである。

属性

データベースにおいて、テーブルの各列が持つ特性や情報のことを指す。列、フィールドとも呼ばれる。具体的には、データベースのテーブルは行と列で構成されており、各列は特定のデータ型を持ち、それぞれ異なる属性を表す。例えば、顧客情報を管理するテーブルでは「名前」や「電話番号」、「住所」などが列として存在し、それぞれの情報を表す。属性はデータの整理や検索を効率化するために重要であり、適切な設計によってデータの一貫性と信頼性を高めることができる。データベースを活用する上で、属性の理解は不可欠である。

実現値

関係モデルにおいて、特定の属性に対して実際に観測または計測された値のことである。この値は、データベースや情報システムでのデータ処理において重要な役割を果たす。例えば、顧客データベースにおける「年齢」属性には、実際の顧客の年齢が実現値として保存される。また、実現値は理論的な値や期待値と対比されることが多く、データの正確性や信頼性を評価するために使用される。データ分析やレポート作成において、実現値を基にした分析が行われることで、状況の理解や意思決定の質を高めることができるのである。

定義域

関係モデルにおいて、特定の属性が持つことができる値の集合を指す。例えば、ある「年齢」という属性の定義域が0から120までの整数である場合、その属性にはこの範囲内の数値だけが格納されることになる。この概念は、データベースにおけるデータの整合性を保つために非常に重要である。定義域に基づく制約を設けることで、無効なデータの入力を防ぎ、データの品質を確保できる。さらに、異なる属性同士の相互関係を理解するためにも、定義域の理解が不可欠である。これは、効率的で一貫性のあるデータ処理を実現するために非常に重要な要素である。

関係スキーマ

データベースにおける関係モデルの一部であり、特定のデータの構造を定義するものである。テーブルの名前、各列の名前、データ型、制約条件などを示すことで、どのようなデータが保存されるかを明確にする役割を持つ。例えば、「従業員」という関係スキーマがある場合、それには「従業員ID」「名前」「部署」「給与」などの属性が含まれる。また、データベース内のデータの整合性を保ち、効率的なデータ操作を可能にするため、重要な基盤となるものである。これにより、ユーザーはデータを論理的に扱いやすくなるのだ。

データベース定義機能

データベース管理システムにおいて、データベースの構造やスキーマを定義・変更するための機能である。この機能を使用することで、テーブルやカラムの作成、データ型の設定、制約の付加などが行える。例えば、新たに顧客情報を管理するテーブルを作成する際に、どのようなデータを保存するかを定義し、必要な項目を設定する。データの整合性や一貫性を保持するために重要であり、適切に利用されることで効率的なデータ管理が可能となる。

データベース操作機能

データベース管理システムにおいてデータの作成、読み取り、更新、削除を行うための基本的な機能である。これらの操作は、データを効率的に管理し、利用するために不可欠である。具体的には、新しいデータを入力する「作成」、既存のデータを取り出す「読み取り」、データを変更する「更新」、不要なデータを除去する「削除」が含まれる。この機能により、ユーザーはデータを簡単に操作でき、アプリケーションが必要とする情報を適切に整理することが可能になる。情報システム全般において、中核的な役割を担うものである。

データベース制御機能

データベース管理システムにおけるデータの管理や操作を支援する機能のことを指す。この機能は、データの追加、削除、更新、検索を効率的に行えるように設計されている。たとえば、データベース内の特定の情報を迅速に検索したり、一度に複数のデータを更新したりすることが可能である。また、データ整合性を保つためのトランザクション管理機能も含まれ、これにより、データの一貫性や安全性が確保される。さらに、ユーザーのアクセス権を管理することで、不正な操作を防ぎつつ、必要なデータに適切にアクセスできる環境を提供する役割も担っている。

保全機能

データベースにおける情報の整合性と持続性を確保するための機能である。この機能は、データの保存や更新、削除に対して適切な管理を行い、データの破損や消失を防ぐ役割を果たす。具体的には、バックアップやリカバリ機能が含まれ、システム障害が発生した場合でも、迅速にデータを復旧できるよう計画されている。また、データのバージョン管理や監査機能も保全機能の一環であり、これにより過去のデータにアクセスすることや、不正な変更の追跡が可能になるのである。これらの機能は、データベースの信頼性を向上させ、ユーザーの安心感にも寄与している。

トランザクション

データベースにおける一連の操作の集まりを指す。これらの操作は、全て成功するか全て失敗するかのいずれかであるため、データの整合性を保つために重要である。例えば、オンラインバンキングにおいて、ある口座から別の口座にお金を移動する場合、引き落としと預け入れの両方が完了しなければならない。このように、データベースの同時実行制御や排他制御の際に、複数のプロセスがデータにアクセスする場合でも、データの整合性を保つための基本となる。トランザクション管理により、エラーが発生した場合でもデータが正しい状態に戻されるため、安全性が高まる。

ロック

コンピュータシステムにおいて、データやリソースに対する同時アクセスを制御するための仕組みである。特に、データベースやマルチスレッドプログラミングにおいて、複数のプロセスやスレッドが同じデータに同時にアクセスすることを防ぐことで、一貫性や整合性を保つ役割を果たす。例えば、二つのユーザーが同時に同じファイルを更新しようとするとき、ロックがかかることで一方の操作が完了するまで他方が待機する。このように、ロックを活用することで、データの競合を回避し、システムの安定性を維持することが可能となる。

デッドロック

コンピュータシステムにおいて、複数のプロセスが互いにリソースを占有し合い、進行できない状態を指す。具体的には、プロセスAがプロセスBに必要なリソースを保持しつつ、同時にプロセスBがプロセスAに必要なリソースを保持している場合に発生する。この状況では、どちらのプロセスも自らが必要とするリソースを手に入れることができず、進行不能となり、結果的にすべてのプロセスが停止する。デッドロックはコンピュータシステムにおいて非常に深刻な問題であり、その回避や解消のためには、適切なアルゴリズムやリソース管理の手法が必要である。

ACID特性

データベースの取引(トランザクション)が信頼性を持って行われることを保証するための基本的な特性を示す。具体的には、原子性、一貫性、独立性、耐久性の四つから成り立っている。原子性は、取引が全て成功するか、全て失敗するかのどちらかであることを意味する。一貫性は、取引がデータの整合性を損なわないようにすることである。独立性は、同時に複数の取引が行われても互いに影響を与えないことを指す。最後に耐久性は、一度成功した取引の結果が永続的であることを保障する。データベースの信頼性を高めるために不可欠であり、多くのシステムで採用されている。

データ辞書

データベース内のデータ構造や属性を定義・管理するための情報を集めたものである。これは、データベース管理システム(DBMS)において、テーブルやフィールドの詳細、データ型、制約条件などを明示する役割を果たす。例えば、データ辞書を使用することで、同時実行制御におけるデータの整合性を維持するために、テーブルの排他制御に関する情報が明確になる。これにより、複数のトランザクションが同時にデータにアクセスする際の競合を防ぎ、システム全体の信頼性を向上させることができる。データベースの設計や運用において重要な役割を持つため、適切に管理されるべきである。

MySQL

広く使用されているオープンソースのデータベース管理システムである。データを効率的に保存し、管理するためのソフトウェアであり、特にWebアプリケーションにおいて高いパフォーマンスを発揮する。このシステムは、SQL(Structured Query Language)という言語を用いてデータの操作を行うため、データの検索、追加、更新、削除などが簡単に実行できる。例えば、MySQLはブログの投稿や商品データの管理など、さまざまなアプリケーションで利用されており、特にPHPなどのプログラミング言語との相性が良い。これにより、動的なWebサイトやアプリケーションの構築が容易になるため、多くの開発者に支持されている。

PostgreSQL

オープンソースのリレーショナルデータベース管理システムである。これは、データを表形式で管理し、SQL(構造化クエリ言語)を用いてデータの操作が行える。高い拡張性や柔軟性を持ち、大規模なデータセットを処理する能力がある。さらに、トランザクション管理や複雑なクエリをサポートし、データの整合性を確保する機能も豊富である。実際には、企業の業務アプリケーションやWebサービス、GIS(地理情報システム)などに広く利用されており、データの信頼性とパフォーマンスが求められる場面で非常に重宝されている。

SQLite

軽量で自己完結型のデータベース管理システムである。通常のデータベースはサーバや複雑な設定が必要な場合が多いが、SQLiteはその特性によりアプリケーション内に直接組み込むことが可能で、設定も簡単である。このため、モバイルアプリや小規模なデスクトップアプリケーションに広く利用されている。SQLiteは全てのデータを一つのファイルに保存する方式を採用しており、トランザクション処理やデータ整合性の保証も備えているため、信頼性が高い。さらに、オープンソースであるため無料で使用でき、さまざまなプラットフォームで広くサポートされている。

Apache Cassandra

分散型のデータベース管理システムである。これは、大量のデータを効率的に扱うために設計されており、特に高可用性やスケーラビリティ(拡張性)が重視されている。たとえば、Cassandraは複数のサーバにデータを分散して保存するため、一部のサーバがダウンしてもシステム全体が機能し続ける。これにより、ビジネスが成長するにつれてデータベースを簡単に拡張できる。さらに、Cassandraは書き込みパフォーマンスが高く、リアルタイムの分析が可能で、大規模なWebアプリケーションやIoTデバイスなどでの利用が進んでいる。このように、データの整合性を保ちながら、迅速にデータを処理する能力が特徴である。

Apache CouchDB

文書指向のデータベース管理システムである。データはJSON形式で保存され、HTTPを介してアクセスされるため、Webアプリケーションとの連携が非常に容易である。CouchDBは、スケーラビリティを重視しており、複数のサーバにデータを分散させることで、高いパフォーマンスを実現する。また、データのフォーマットが柔軟で、スキーマを持たないため、さまざまなデータ構造を扱うことができる。さらに、CouchDBは自動的にデータの冗長性を確保し、高可用性を提供するため、信頼性の高いシステムとして多くの開発者に支持されている。

MongoDB

ドキュメント指向のデータベース管理システムである。データをテーブルや行の形式ではなく、JSON形式に似たドキュメントとして保存するため、柔軟でスケーラブルなデータ構造を提供する。例えば、Webアプリケーションがユーザーデータを保存する際、ユーザー名やメールアドレス、プロフィール情報を一つのドキュメントとして格納でき、必要に応じて簡単に追加や変更を行うことができる。大量のデータを扱うシステムやリアルタイムの分析を行うアプリケーションに特に適しており、そのスケーラビリティと可用性から多くの企業で採用されている。

Redis

高速なデータストレージシステムの一種である。具体的には、データをメモリ上に保存することにより、高速なデータアクセスが可能となる。この特性により、リアルタイムデータ処理やキャッシングなどの用途に適している。例えば、Webサイトが頻繁にアクセスされる場合、Redisを利用することで、データベースへの負荷を軽減し、サーバの応答速度を向上させることができる。また、Redisはデータ構造を豊富にサポートしており、リストやセット、ハッシュなど、様々な形式でデータを扱うことが可能である。このように、柔軟性とスピードを兼ね備えているため、近年多くのアプリケーションで使用されている。

Neo4j

グラフデータベースの一種であり、データをノード(点)とリレーションシップ(線)として表現する技術である。この方式は、データ同士の関係性を直感的に表現できるため、複雑なデータの構造を扱う際に非常に効率的である。例えば、ソーシャルネットワークのデータでは、ユーザーをノードとして、彼らの友人関係をリレーションシップとして表現することが可能である。クエリ言語としてCypherを使用し、データを簡潔に検索・操作することができる。この特性により、マシンラーニングやビッグデータ分析など、多様な応用が期待されている。
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