応用情報技術者過去問題 平成24年秋期 午後問3

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問3 経営戦略

業務の改善に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

 S社は中堅の建設会社であり,国内の現場で工事を行っている。工事で使用する建設機械や安全器具(以下,機器という)を,自社の機器管理センタ(以下,センタという)に保有し,機器の貸出しと点検・修理,及び,調達を行っている。
 センタでは,現場で必要な機器を,必要な時期に,正常に動作する状態で提供することを部門方針としている。
 S社の業績を分析してみると,受注件数と売上金額は堅実に推移しているが,利益が減少している。そこで,経営層からの指示で,全社的に投資効率の改善と費用の削減に取り組むことになり,経営企画室のT氏がセンタ業務の実態を把握するために調査・ヒアリングを実施した。
 T氏は,業務効率を評価する指標を設定し,業務上の問題点を明らかにした上で,ITを活用した業務の改善を検討した。

〔機器貸出しの業務〕
 はじめに,T氏はセンタの機器貸出しの業務フローを図1にまとめた。
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 各業務の概要は,次のとおりである。
返却:現場で使い終わった機器をセンタに返却する。
点検:センタに返却された機器を点検する。
廃棄:点検で修理が不可能と判断した機器を廃棄する。
修理:点検で修理が必要と判断した機器を修理する。
整備:点検で修理が不要と判断した機器を整備する。
調達:機器を購入,又は借入れによって調達する。
入庫:整備した機器,修理した機器,又は調達した機器を入庫する。
出庫:搬出:入庫した機器から必要な機器を出庫し,まとめて現場へ搬出する。

〔機器貸出システムの概要〕
 センタでは,機器貸出システムを使用して,保有する機器の種類と台数,及び現場に貸し出している機器の種類と台数を管理している。
 貸し出していた機器がセンタに返却されると返却日を入力し,点検が終わると点検終了日を,整備又は修理が終わると入庫日を入力する。出庫時には,出庫日を入力する。
 現場からの貸出依頼には,入庫している機器(以下,在庫という)から引き当てる。もし,在庫がない場合は,整備中若しくは修理中の機器又は調達予定の機器から引き当て,現場からの出庫希望日と入庫予定日を考慮した上で出庫予定日を決める。
 T氏は,機器が返却されてから出庫されるまでの業務スケジュールを図2に,機器貸出システムにおける予定日の設定を表1に整理した。
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〔機器の調達〕
 S社で使用する機器の多くは受注生産品であり,発注から入庫までに数か月を要するので,機器調達計画を作成している。計画は,予定されている工事の期間と内容から,使用する機器の種類と台数,及び貸出期間を想定し,これをセンタの予定される在庫数と照らし合わせて作成する。機器が不足しそうな場合で,使用するまでに十分な期間があり,使用頻度が高い機器は購入し,それ以外は他社から同等の機器を借り入れる。
 S社では,借入れに備えて,同等の機器を保有する複数の同業他社と,機器の貸出し・借入れの基本契約を結んでいる。借入れの際は,借入期間に応じた賃借料を支払う。

〔業務上の問題点〕
 機器の貸出依頼の前に,現場からセンタへ機器の在庫状況を電話で問い合わせてくることが多い。センタでは,問合せへの対応に追われ,業務が滞ることがある。
 センタから出庫した機器が現場で正常に動作しない場合は,センタに返品される。返品の主な原因は点検や修理の不備であり,すくに代わりの機器を出庫している。
 機器の種類ごとに1回の使用料を定額に決めていて,使用料に加えて搬出に必要な搬送料も現場に課金する。機器は,工事期間の開始から終了まで常に使用するわけではなく,期間の途中で使用が終了することもあるが,使い終わってもすぐには返却されず,他の機器の使用が終了するのを待って,まとめてセンタに返却されることが多い。

〔センタ業務の評価〕
 センタ業務に関しては,経営層から投資効果の検証が求められている。T氏は,次の①〜③の視点ごとに指標を設定し,モニタリングすることで評価を行い,改善を図ることにした。
  1. 投資効率
     投資効率の評価は,ROI(Return On Investment:投資利益率),課金総額センタ収支率,及び投下資本回転率の各指標を用いる。各指標は,一定期間の課金合計を課金総額として,次のとおりとする。
    • ROI=課金総額センタ収支率×投下資本回転率
    • 課金総額センタ収支率=センタ収支/課金総額
                =(課金総額−費用)/課金総額
       うち,費用=賃借料+労務費+その他経費
    • 投下資本回転率=課金総額/投下資本
             =課金総額/(土地・建物価格+機器購入額)
  2. センタ業務品質
     センタ業務品質の評価は,良品率を指標とする。指標は,出庫した機器が現場でどれだけ正常に動作したかを示し,次のとおりとする。
    • 良品率=1−a数/出庫数
  3. センタ出庫日遵守
     センタ出庫日遵守の評価は,出庫予定日遵守率を指標とする。指標は,出庫予定日にどれだけの機器を出庫できたかを示し,次のとおりとする。
    • 出庫予定日遵守率=出庫予定日に出庫できた数/出庫数
〔業務改善とシステム改修〕
 T氏は,これらの状況から,次の業務改善とシステム改修を提言することにした。
  • 業務改善では,機器の貸出期間を短縮するために,課金方式を変更する。
  • システム改修では,機器の在庫状況や入庫予定日を,Webで現場に公開する。

設問1

機器貸出システムの現行の運用では,業務上で発生し得る事象によって出庫業務に支障が出る。センタ内で発生し得る事象を一つ挙げ,30字以内で述べよ。また,この事象に影響される本文中の指標を答えよ。

-解答入力欄-

  • 事象:
  • 指標:

-解答例・解答の要点-

  • 事象:機器の整備又は修理の期間が予定よりも長引く (21文字)
  • 指標:出庫予定日遵守率

-解説-

指標から考えると答えを導きやすいです。

〔センタ業務の評価〕では、①投資効率、②センタ業務品質、③センタ出庫日遵守の視点があり、それぞれに指標が設定されています。このうち「出庫業務に支障が出る」ことによって悪影響を受けるのは③センタ出庫日遵守の視点にある「出庫予定日遵守率」です。したがって、指標としては「出庫予定日遵守率」が適切です。

出庫業務への支障は、システムの現行の運用において業務上発生する事象によって起こるとされています。出庫予定日遵守率は「出庫予定日に出庫できた数/出庫数」と定義されているため、出庫予定日に出庫できない場合に当該遵守率が低下してしまうことになります。表1「機器貸出システムにおける予定日の設定」を見ると、入庫予定日は「点検終了日+予定整備期間 又は 予定修理期間」と定義していて、整備や修理の予定期間を基準に設定されていることがわかります。整備や修理の期間はあくまで予定であり、その期間内に終了しないことも普通に考えられます。この場合には出庫予定日に出庫できないという問題が発生し、出庫予定日遵守率に悪影響を与えます。

∴事業=機器の整備又は修理の期間が予定よりも長引く
 指標=出庫予定日遵守率

設問2

機器の調達に際して,購入した場合と借入れで対応した場合の投資効果への影響について,投資効率改善,又は費用削減の観点から,評価に使用する指標をそれぞれ解答群の中から選び,記号で答えよ。また,その指標を改善するためには何をすればよいか。それぞれ15字以内で述べよ。
解答群
  • 課金総額センタ収支率
  • 出庫予定日遵守率
  • 投下資本回転率
  • 良品率

-解答入力欄-

  • 購入(指標):
  • 購入(何を):
  • 借入れ(指標):
  • 借入れ(何を):

-解答例・解答の要点-

  • 購入(指標):
  • 購入(何を):機器購入額を抑える (9文字)
  • 借入れ(指標):
  • 借入れ(何を):賃貸料を抑える (7文字)

-解説-

投資効果への影響を評価する指標ですので、〔センタ業務の評価〕の①投資効率の視点に記載されている指標が該当します。この時点で、解答は「ア」課金総額センタ収支率か、「ウ」投下資本回転率に絞られます。

〔購入した場合〕
"機器購入額"が計算式に含まれている「ウ」投下資本回転率が評価に使用する指標となります。投下資本回転率の計算式は、

 投下資本回転率=課金総額/(土地・建物価格+機器購入額)

となっています。投下資本回転率は値が大きいほど効率よく投下資本を活用できたことになるため、機器購入額を少なくし、分母が小さくなれば指標が改善されることになります。したがって解答は「機器購入額を抑える」となります。

∴指標=ウ:投下資本回転率
 何を:機器購入額を抑える

〔借入れで対応した場合〕
"賃借料"が計算式に含まれている「ア」課金総額センタ収支率が評価に使用する指標となります。課金総額センタ収支率の計算式は、

 課金総額センタ収支率=(課金総額−費用)/課金総額
 うち費用=賃借料+労務費+その他経費

という計算式となっています。収支率を向上させるには分子を大きくする必要があり、そのためには費用を削減することが求められます。したがって費用のうち「賃借料を抑える」ことになります。

∴指標=ア:投下資本回転率
 何を:賃貸料を抑える

設問3

〔センタ業務の評価〕について,本文中のaに入れる適切な字句を,本文中の字句を用いて答えよ。

-解答入力欄-

  • a:

-解答例・解答の要点-

  • a:返品

-解説-

良品率の計算方法について問われています。②センタ業務品質を読むと、良品率は「出庫した機器が現場でどれだけ正常に動作したかを示し」とあります。〔業務上の問題点〕には「センタから出庫した機器が現場で正常に動作しない場合は,センタに返品される。返品の主な原因は点検や修理の不備であり,すくに代わりの機器を出庫している」という記載があります。

「良品率=1−a数/出庫数」という計算式で、[a]に入る言葉を解答します。1から[a]数/出庫数を引くということは、[a]数/出庫数は正常に動作していない機器の率であることが分かります。〔業務上の問題点〕に「正常に動作しない機器は返品される」とあることから、[a]に入るのは「返品」(率)となります。

a=返品

設問4

〔業務改善とシステム改修〕について,(1),(2)に答えよ。
  • 今回の業務改善で,どのような課金方式にすべきかを20字以内で述べよ。
  • システム改修によって,センタでの業務上の問題点がどのように改善されるかを25字以内で述べよ。

-解答入力欄-



-解答例・解答の要点-

    • 貸出期間に応じた課金方式にする (15文字)
    • センタへの在庫状況の問合せが減少する (18文字)

-解説-

  • 〔業務上の問題点〕では「機器は,工事期間の開始から終了まで常に使用するわけではなく,期間の途中で使用が終了することもあるが,使い終わってもすぐには返却されず,他の機器の使用が終了するのを待って,まとめてセンタに返却されることが多い」とあります。この問題を解消する必要があります。現在は「機器の種類ごとに1回の使用料を定額に決めていて,使用料に加えて搬出に必要な搬送料も現場に課金する」となっていることから、貸出期間にかかわらず一定の金額が課金されています。現場からすればいつ返しても料金は同じなのですから、終了が終わった機器が迅速に返却されないのも無理はありません。

    これを改善するには貸出期間に応じた課金方式にすることが考えられます。現場では使用していない機器に料金を払う無駄を省くため、使用終了した機器から順次返却されることが期待できます。

    ∴貸出期間に応じた課金方式にする

  • 「システム改修では,機器の在庫状況や入庫予定日を,Webで現場に公開する」と言う内容ですので、〔業務上の問題点〕のうち、この改修で解決する事項を答えればよいことになります。

    〔業務上の問題点〕には「機器の貸出依頼の前に,現場からセンタへ機器の在庫状況を電話で問い合わせてくることが多い。センタでは,問合せへの対応に追われ,業務が滞ることがある」と記載があります。機器の在庫状況や入庫予定日をWebで公開しておけば、現場ではこれまで問い合わせていた情報をWeb上の情報を見ることで自ら確認できるようになります。これによりセンタへの問合せが減る効果が期待できます。

    ∴センタへの在庫状況の問合せが減少する
問3成績

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