応用情報技術者過去問題 平成28年春期 午後問11

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問11 システム監査

業績管理システムの監査に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

 製造業のF社は受注生産を行っており,製品別に五つの事業部がある。また,これらの事業部とは別に,営業本部が営業活動を行っている。F社では,事業部別の業績を把握するために業績管理システムを構築し,運用している。業績管理システムの機能改修を昨年度行ったので,その後の運用状況について,監査室による監査を実施することになった。

〔業績管理システムの概要〕
 業績管理システムは,部門業績サブシステム及び営業支援サブシステムで構成されている。
 部門業績サブシステムでは,事業部別の受注・売上・利益の計画・実績・見通しなどの業績データを管理している。一方,営業支援サブシステムでは,個々の営業案件を管理している。
 従来,部門業績サブシステムによる業績見通し情報は,各事業部が,それぞれ管理している資料に基づいて,毎月入力していたが,実績が業績見通しと大きく異なることがあった。そこで,昨年度,業績見通しの精度の向上を図るために,業績管理システムを改修した。現在は,営業支援サブシステムの営業案件データを基に,週次で業績見通しを算出している。改修後の業績管理システムの概要は,図1のとおりである。
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〔予備調査の結果〕
 監査室は,予備調査として業績管理システムの仕様書を閲覧した後,関係者に対してヒアリングを行った。調査結果は次のとおりである。
  • 営業支援サブシステムでの営業案件データの入力
    1. システム改修に当たリ,営業担当者が,既存の営業案件データを営業支援サブシステムに入力する。入力するデータ項目は,"案件番号","受注番号","案件名称","担当営業部","担当事業部","受注確度","営業状況","受注年月","売上年月","受注金額"などである。
    2. 当年度内の営業活動によって,既存案件の内容が変化したり,新規案件が発生したりすると,営業担当者がその都度,営業支援サブシステムに案件状況を入力する。入力期限は毎週末であるが,営業担当者が多忙で入力が遅くなる場合もある。
    3. 案件の"受注確度"は,A〜Eの五つに区分して入力し,確度Aは受注確定を意味する。しかし,営業本部では,これまで"受注確度"よりも顧客との打合せ内容などを記載した"営業状況"の内容を重視していた。したがって,営業支援サブシステムでは,受注管理表に受注確度別の集計は出力していない。
    4. 営業担当者による案件状況の入力結果は,営業部の課長が承認した後,確定する。
  • 営業支援サブシステムから部門業績サブシステムへの営業案件データの取込み
    1. 情報システム部のシステム運用担当者は,週次(週の第一営業日)で,作業手順書に従って営業案件データの取込み作業を行っている。作業手順書には,営業支援サブシステムの営業案件データの出力や,部門業績サブシステムへの営業案件データの取込みなどの実施すべき作業が記載されている。
    2. 営業案件データと事業部案件データは,データ項目とデータ形式が異なるので,部門業績サブシステムに取り込むときには,データ変換表を利用して自動変換している。データ変換表は,組織,製品の変更があると,システム運用担当者が,随時更新している。
    3. システム運用担当者は,取込み作業終了後に,実施した作業と作業結果をシステム業務記録簿に記入する。
    4. 事業部案件データを基に事業部案件一覧表が作成され,各事業部の関係者が作業計画立案などに利用している。
  • 部門業績サブシステムでの事業部案件データの利用
    1. 部門業績サブシステムでは,事業部案件データを受注確度別に集計し,受注確度別に定めた確率を掛け合わせて,業絞データ(事業部別の受注・売上・利益の見通しなど)を作成している。
    2. 業績データを基に,週次で業績管理表が作成され,各事業部が内容を確認するとともに,月次で経営企画室が経営会議で報告している。
〔本調査の実施〕
 監査室は,予備調査の結果を基に,データ品質の確保と業績管理システムの改修目的達成の観点から,業務の流れに従ってリスクと監査要点を検討し,"リスクと監査要点一覧にまとめた。その抜粋は,表1のとおりである。
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設問1

表1中の項番1,4のadのそれぞれに入れる最も適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。
a,d に関する解答群
  • 可用性
  • 効率性
  • 準拠性
  • 正当性
  • 網羅性

-解答入力欄-

  • a:
  • d:

-解答例・解答の要点-

  • a:
  • d:

-解説-

営業活動に係る業績管理システムの監査を題材に、データの入力と連携、情報活用にかかわるリスクを認識し、それを踏まえて監査を行う能力が問われています。選択式問題の選択肢はすべて監査についての基本的な用語であり、記述式の問いにはすべて本文中の語句を用いれば正答できるので、比較的易しい問題と言えます。


aについて〕
監査要点には「すべての新規案件を入力する」、「漏れがないことを確認する」と記載されています。本文中では、営業支援サブシステムへのデータ入力について、「営業担当者が多忙で入力が遅くなる場合もある」と記載されており、本来入力されなければならない新規案件の一部に入力漏れが生じ得ることをリスクとして挙げていると推測できます。必要なものが漏れなく、集められていることを示す特性は網羅性です。

a=オ:網羅性

dについて〕
監査要点には「権限のある者が」、「適切に承認」と記載されています。本文中では、「既存案件の内容が変化したり,新規案件が発生したりすると,営業担当者がその都度,営業支援サブシステムに案件状況を入力する。」と説明されていますが、「営業部員が多忙で入力が遅くなる場合もある」としているように、"忙しさ"や"後から入力"等の理由で不正なデータが入力されてしまうリスクを想定できます。
「案件状況の入力結果は,営業部の課長が承認した後,確定する」としていますが、監査では、この承認業務の適切性をチェックすることで、正しいデータが入力されているかを確認しようとしています。選択肢のうち、データが正しいことを示す特性は正当性です。

d=エ:正当性

設問2

表1中の項番2,3及び5のbc及びeに入れる適切な字句を,bcは5字以内で,eは10字以内でそれぞれ答えよ。

-解答入力欄-

  • b:
  • c:
  • e:

-解答例・解答の要点-

  • b:入力期限 (4文字)
  • c:受注確度 (4文字)
  • e:データ変換表 (6文字)

-解説-

bについて〕
営業データが最新の状況を反映していないことがリスクですから、このリスクが顕在化するのはどのような場合かを〔予備調査の結果〕から探します。
(1)②に「既存案件の内容が変化したり,新規案件が発生したりすると,営業担当者がその都度,営業支援サブシステムに案件状況を入力する。入力期限は毎週末であるが,営業担当者が多忙で入力が遅くなる場合もある」と記載されていますので、入力期限までに最新状況が入力されない場合があるということがわかります。

したがって、営業担当者に周知・徹底されるべきなのは入力期限となります。

b=入力期限

cについて〕
業績見通し算出に必要な、信頼できる営業案件データが入力されないのがリスクですから、営業案件データが信頼できなくなるのはどのような場合かを〔予備調査の結果〕から探します。
(3)①には、「部門業績サブシステムでは,事業部案件データを受注確度別に集計し,受注確度別に定めた確率を掛け合わせて,業絞データ(事業部別の受注・売上・利益の見通しなど)を作成している」と記載されていますので、業績見通しの作成には受注確度が大きく関係していることがわかります。
しかし、(1)③の受注確度の説明には、営業担当者が「案件の"受注確度"は,A〜Eの五つに区分して入力し,…。しかし,営業本部では,これまで"受注確度"より…"営業状況"を重視していた」とあり、営業本部内における"受注確度"に対する認識は低く、判断基準の有無も不明で、必ずしも適切な区分が入力される保証がないことが読み取れます。

したがって、業績見通しにかかわる営業案件データの信頼性を確認するためには、受注確度についての判断基準が定められ、それが周知・徹底されているかをチェックすることになります。

c=受注確度

eについて〕
営業支援サブシステムから部門業績サブシステムに、正確な営業案件データが取り込まれないのがリスクですから、営業案件データが正確でなくなるのはどんな場合かを〔予備調査の結果〕から探します。
(2)②に、「部門業績サブシステムに取り込むときには,データ変換表を利用して自動変換している」、「データ変換表は,組織,製品の変更があると,システム運用担当者が,随時更新している」と記載されていますので、システム運用担当者がデータ変換表を正しく更新していることが、この作業の前提になっていることがわかります。

したがって、正しく作成されているかどうかを確認すべき対象はデータ変換表となります。

e=データ変換表

設問3

表1中の項番5の監査要点②の監査手続において,監査室が照合した二つの監査証拠を,それぞれ10字以内で答えよ。

-解答入力欄-

  • @:
  • A:

-解答例・解答の要点-

  • @:作業手順書 (5文字)
  • A:システム業務記録簿 (9文字)

-解説-

営業支援サブシステムから部門業績サブシステムへの取込み作業が、正しく実施されたことを確認するために何と何を照合したらよいかということです。

〔予備調査の結果〕(2)の①から、取込み作業はシステム運用担当者が手作業で行っていることがわかります。そして、その際の手順は「作業手順書」であることが記載されています。(2)の③には「取込み作業終了後に,実施した作業と作業結果をシステム業務記録簿に記入する」と記載されていますので、照合する、つまり、相互に関係づけて実施した内容が正しいことを確認するための監査証拠は、作業手順書システム業務記録簿になります。この2つを照合すれば、作業が手順通りに行われたか、正しく完了したかを確認できます。

∴作業手順書、システム業務記録簿(※順不同)

設問4

表1中の項番6で"確認すべき指標"を示すfに入れる適切な字句を,15字以内で答えよ。

-解答入力欄-

  • f:

-解答例・解答の要点-

  • f:業績の見通しと実績の差異 (12文字)

-解説-

fについて〕
まず、業績管理システムの改修目的が何であったかを本文から探します。
〔業績管理システムの概要〕に「業績見通しの精度の向上を図るために,業績管理システムを改修した」と記載されています。〔予備調査の結果〕まで通して読んでみても、目的めいた記載はこれ以外にはありません。したがって、業績管理システムの改修目的が達成されないリスクに対して行う監査手続としては、業績見通しの精度が向上したことを示す指標を確認すればよいことになります。

指標は具体的である必要がありますので、本文中にその用語があるはずと推測できます。同じ箇所に「従来,部門業績サブシステムによる業績見通し情報は,各事業部が,それぞれ管理している資料に基づいて,毎月入力していたが,実績が業績見通しと大きく異なることがあった」という記載もありますので、改修前と後とを比較して、実績が業績見通しと大きく異なるという問題が改善されていれば、業績管理システムの改修目的は達成されたことになります。

したがって、監査の実作業としては実績と業績見通しの差異が減少していることを確認することになります。

f=業績の見通しと実績の差異
問11成績
【平成28年春期 午後問題】
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